まるで弟のような新入社員が酔い潰れて…用意された言い訳 (ページ 2)
「彰人くん、大丈夫?」
ベッドの上に座った彼に冷蔵庫からペットボトルのお茶を取り出して渡そうとした、その瞬間。
「みゆきさん、好きです。」
真顔になった彼がスッと立ちあがり私の肩を抱きながら言い出した。
「…ちょっ、悪酔いしすぎだよ。」
まっすぐな、熱のこもった視線。
その意図に気づきたくなくて私は俯きながらやっと言葉を口にする。
「本当に、みゆきさんが好きなんです。」
肩を抱く手に、力がこもる。
「ダメだよ、酔った勢いで・・・なんて・・・。」
頭のなかは真っ白。
確かに一緒に働きながら私に気があるんだろうな、とは思っていたけど・・・
「酔ってなかったら、いいんですね?」
言質をとった、とでもいうような満足そうな声がする。
そういえば、酔ってる割にしっかり歩いていたような。
帰路に先導しているつもりで、ホテル外へと誘導されていたのは私の方だったような。
ホテルの入口前でも私を抱きかかえるようにして、堂々と入っていたような―。
「まったく、こまったちゃんだから・・・。」
「でも、こんな方法しか思いつかなくて・・・。」
「いいよ・・・、彰人くんなら・・・。」
私に告白するために、誘うために酔ったフリをしたことがなんだか可愛く思えてしまった。
彼は嬉しそうに、ネクタイが邪魔だとでもいうように乱雑にネクタイを外す。
そして、私を強く抱きしめた。
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