バーで憧れのモデルとばったり出くわした私。思わず知らない振りをしていたけれど彼の方から話しかけてくれて!?
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バーで憧れのモデルとばったり出くわした私。思わず知らない振りをしていたけれど彼の方から話しかけてくれて!? (ページ 1)
(ウソウソウソ、こんな偶然あるの!?さすが東京!)
バーで隣になった男性はモデルの颯真だった。
かっこよくて色っぽくて、上京する前からこっそり応援していたイケメンモデル。
東京の企業に就職して慣れないことばっかりで落ち込んでいたけれど、こんな間近で憧れの芸能人に出会えて疲れなんて一気に吹き飛んだ。
(ああ~~生きててよかった!)
でもプライベートだし、いきなり話しかけたらきっと嫌がられる。
そもそもこんなイケメンに話しかける勇気もない。
私は気づかない振りをして一人でちびちびお酒を飲んでいた。
そしたら…。
「あの…ここにはよく来られるんですか?」
「へ!?」
「ああ、ごめんなさい。急に話しかけて。綺麗な女性だなと思って、つい」
(ききき、綺麗って…!!あなたの方がずっと綺麗です!)
と思いながら、私はしどろもどろに返事した。
憧れの颯真さんと会話を交わせたこの日は私の命日。
そう思えるくらい私は幸せを感じた。
でもそれからも何度かそのバーで颯真さんと顔を合わせるようになって、私たちはだんだん仲良くなっていった。
(私、夢でも見てるのかな…?)
その日は残業で遅くまでヘロヘロで、颯真さんと会えたらいいなと思いながらバーに入ったけれど、彼の姿はなかった。
(そりゃそうだよね。いつも会える訳じゃないもん)
私はいつもより速いペースでぐいぐいお酒を飲んだ。
数時間後…。
「ふえ~。くっそ~あのハゲ課長めええ」
「…由衣さん、家はここで間違いないですか?」
「ひゃい、間違いないれす~。…あれ?その声は…颯真しゃん?」
「はい、そうですよ。颯真です」
「…へ?」
私はいつの間にかアパートの前まで来ていた。
なぜ颯真さんと一緒にいるのか、これはどういう状況なのか、何一つ思い出せない。
「これは一体、どういう…?」
「由衣さん、バーで酔い潰れてたんですよ。俺が来た時にはもう顔真っ赤になってずっと会社への愚痴零してました。仕事、大変そうですね」
「そ、そんな…!」
記憶が完全に抜け落ちている。
それにまだ頭がふわふわして夢の中にいるみたいだった。
訳もわからないまま颯真さんに支えられて、私は家の中に入った。
「その様子なら一人でベッドで寝られますね?お水飲んでゆっくり休んでください」
「颯真さんは…なんで私を送ってくれたんですか?」
「え?」
「放っておくこともできたのに…なんで?」
颯真さんを見上げると、彼の顔がどんどん赤くなっていった。
「由衣さん、その顔で上目遣いはずるいです」
「え?」
「それはその…気になる女性が酔い潰れてたら心配するでしょう?普通」
その瞬間、私は理解した。
これ、多分まだ夢を見ているんだわ、と。
だって颯真さんが私のこと気になるなんて絶対あり得ないもの!
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