強く濃く叶わぬ想いをぶつけるようにキスマークを付けあって…禁断の愛 (ページ 2)
「遅くなってごめん」
会社では決して見せない、甘い笑みを浮かべて部長が部屋に入ってきたのは20時を10分ばかり過ぎていた。
「気にしてませんよ」
私はにこりと笑うと、まだ会社で着ていたスーツ姿のままの部長に抱きついて匂いを嗅ぐと、首筋にキスする。
あらかじめ、シャワーを浴びてメイクも全部落としているので、口紅の痕一つつけることも出来ない自分がもどかしい。
あーあ、奥さんは毎日、堂々とこんなことができるなんて、心底羨ましいなあ。
部長はくしゃりと私を抱きしめると、二人、もつれあうようにベッドの上に倒れ込んだ。
「――スーツ、皺になっちゃいますよ?」
いつも、神経質に丁寧にスーツやシャツを脱ぐ部長とは思えぬ行為に私は目を丸くする。
「いいよ。産後一か月は、一人暮らしなんだ。アイツは実家」
――アイツ、か。
いいなあ、私もそんな風に言われたい。
でも、それはかなわぬ夢だから。
私は急いで、部長のシャツのボタンを外して胸元にちくりとキスマークを刻んだ。
普段は我慢している分、強く、濃く部長の身体に私を刻む。
しばらく面白そうに眺めていた部長は、くるりと私を抱き寄せ上下逆転させてバスローブの紐を解いた。
何も身に着けてない身体が露わになる。
チュッ
ちくっとした痛みが走って、私がつけたキスマークより、ずっとずっと濃いキスマークが私の乳房に刻まれた。
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