「……良いのか? 我は吸血鬼。お前たち人間からしてみれば、化け物にも等しい存在だろう?」
思案気な瞳に見下ろされ、自分の本心を悟った恵美は、自信たっぷりの笑みを浮かべて背伸びをし、薄い唇にちゅっと音を立てて口づけた。
「貴方みたいに綺麗で礼儀正しい化け物なら、むしろ大歓迎よ。私は恵美。貴方の名前は?」
「ギルバートと呼んでくれ。……恵美か、良い名だな」
「ふふ、ギルバートね。……自分でもびっくりしてるの、私ね、」
貴方に一目ぼれしちゃったみたい。
恵美はそう悪戯に笑んで、きょとんとするギルバートにもう一度口づけて見せた。
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