見知らぬ男女のセックスを横目に、体が疼く私は上司と快楽の沼にはまる。密室の情事。

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見知らぬ男女のセックスを横目に、体が疼く私は上司と快楽の沼にはまる。密室の情事。 (ページ 1)

資料室で私は上司の野村課長と資料の束を漁っていた。

数列並んでいる書類棚の一番奥、部屋の扉から一番遠い場所で。

だから、誰かが入ってきても声をかけなければ気づかれない。

小さな窓が一つあり、明るい昼間はそこからの光だけで十分だった。

「すまないなぁ澤田。こんなドブみたいな仕事手伝わせて」

そういう野村課長、彼は40代前半で、物腰の柔らかい、30過ぎの私から見たらちょっと頼りなさそうなおじさん。

でも優しいし仕事はやりやすい。

顔は嫌いじゃないけど、可もなく不可もなく、結婚はしてなくて、雰囲気からしてたぶん彼女もいない。

かといって誘うほどでもない人。

男としては意識していない、そう思っていた。

「全然気にしないでください課長。こんなの慣れてますから」

そういって段ボールの中にぎっしり詰まった紙を一気に取り出そうとしたら…。

バサバサ!…やってしまった。

数十いや数百枚の紙の資料を床に見事に撒き散らしてしまった。

呆然とするのも束の間、「すみませんっ」と咄嗟にしゃがみ込んで拾おうと思ったら、彼も同時に資料に右手を伸ばした。

私の手に彼に手が触れる。

一瞬どきっとして彼の顔を見ると、野村課長も同じような動揺した顔をしていた。

微妙な間と沈黙。

ただ当たっただけなのに。

何も恥ずかしがる必要はないのに、それなのになぜ…。

しかしどうしたわけか彼は、私の頬にその手をそっと添わせてきた。

私は突然のことに言葉にならない熱いものを胸に感じていた。

すごく優しい感触。

もしかしたらそんな雰囲気になるのかな…と思ったそのときだった。

ガチャっという音で私たちは資料室の扉の方を向くと同時に息を潜めた。

「早くっ」

男女のひそひそ声が聞こえる。誰だろう?

私たちはまだ何もしていないのに、すごく後ろめたくて、隠れたままになってしまった。

私たち共犯者は、もう出て行くことができない。

彼らの声が聞こえなくなったと思い、書類棚の隙間から覗き込むと、なんと二人は貪るようにキスをしていた。

男の手は女の胸をまさぐっている。はあはあと荒い息遣いが聞こえてくる。

誰!?ここどこだと思ってるの!まずいわ…始まるかもしれない!!

私たちは顔を見合わせた。

野村課長はやれやれという顔をして壁を背に座り込んだ。

そして上目遣いでこちらを見て、申し訳なさそうな顔をしてうっすらと笑った。

その表情を見て私の中でパチンと何かが弾ける音がした。

孤独で憂鬱そうなおじさんだけど、なんだか見捨てられない感じ。

そして、なぜだか無性に彼がほしい。

こんな状況だから?

あの二人をみて体が疼くから?

どんな理由でもいいじゃない。

彼がほしい、今すぐに。

-FIN-

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