結婚記念日は一緒に過ごそう それはあなたとわたしの優しい約束 (ページ 2)
「ねえ、お願い……」
乳房を包んでいる夫の手をとり、下へと導く。
すでに熱く潤んで、触れてもらうことを待ち望んでいる場所へ。
――お願い。ここも、触って。
こんなふうにねだることも、彼に教わった。
「わかったよ」
低いささやきとともに、彼の手がなだらかな腹部を静かに滑り降りていった。
「あっ……」
大きな手が秘めやかな部分を覆う。
少し硬い指先が百合子の中へ入り込んでくる。濡れた肉の花びらをそっとこじ開け、奥に隠れた快楽を探り出す。
「ん、あ……、あぁ……」
ため息のような細い声がこぼれた。
彼の指がわずかに動くたびに、熱い快感がほとばしる。じゅん、と体の奥がうずき、熱い蜜がとろとろとあふれ出すのを感じる。
腰が浮き上がり、膝がふるえた。
思わず閉じそうになってしまった両脚を、彼の手がそっと押さえつけ、さらに開かせる。
「もう――いいかい?」
「うん。……来て」
小さくうなずき、夫の背中を抱きしめる。
ずん、と体の芯に響く衝撃とともに、彼が入ってくる。
「あ、は、あ……っ」
その圧力に押し出されるように、胸の奥から喘ぎがせりあがってきた。
彼の高まりがどくっ、どくっと、自分の中で大きく脈打つのを、はっきりと感じる。
苦しい。体が内側からつぶれそう。でも、それがたまらなく気持ちいい。
全身で彼にすがりつく。
「あ、あなた……っ。あなた、きて、もっと……!」
愛し合う、という言葉の本当の意味を、彼が教えてくれたような気がする。
互いの体がひとつに溶け合うような感覚の中、快楽の頂点にのぼりつめた。
白くぼやけ、途切れていく意識の片隅で、夫が自分の名前を呼んでくれたのを聞いたような気がした。
カーテンの隙間からこぼれる朝の光に、百合子は目を覚ました。
ぼんやりと視線をめぐらし、時計を確かめると、朝の七時少し前。いつもどおりの時間だ。
「あなた……?」
まだ半分眠ったような状態で無意識につぶやき、自分のその声でようやくはっきり目を覚ます。
「夢……?」
――夫の夢を見たのは、ずいぶん久しぶりのような気がする。
まだ、全身に彼の優しい体温が残っているようだ。
壁にかかったカレンダーを確かめ、百合子は気づいた。
確かに、昨日は自分たちの結婚記念日だった。
彼は約束してくれた。どんなことがあっても、結婚記念日だけは必ず一緒に過ごそうと。
「そう……。約束どおり、来てくれたのね、あなた……」
机の上に飾ったフォトスタンドの中で、永遠に変わらない笑顔を見せる夫に向かい、静かにほほ笑んだ。
コメント (0)