酔っ払った私は、憧れの先輩に優しく介抱されて・・・偶然訪れた甘く濃密な時間。 (ページ 2)

 「・・・き、着替え終わりました。」

 パジャマに着替えた私は、ドアを開けて藤井さんに声を掛けた。

 「お!?パジャマ姿、可愛いね。」

 「え!?」

 (褒められちゃった。)

 「どうしたの?大丈夫?顔、赤いよ。まだ酒が抜けないかな?」

 好きな人にパジャマ姿を褒められて赤面した私の顔を、藤井さんが覗き込む。

 「あ、あの・・・。」

 「そろそろ寝ようか。俺のアパート、狭いから、同じ部屋で寝ることになっちゃうけど、ごめんな。」

 そう言いながら、藤井さんは、押入れから布団を出して床に敷いた。

 「い、いえ!!そんな・・・。」

 「じゃあ、寝ようか。電気は点けとくから、安心して。」

 

 そう言うと、藤井さんはYシャツ姿のまま床に敷いた布団に潜り込んだ。

 「おやすみ。」

 「・・・おやすみなさい。」

ベッドに潜り込むと、微かに藤井さんの喫っているタバコの臭いがした。いつも藤井さんが眠っているベッドに横になっている。それだけで、ドキドキして眠ることができない。

 「あ、あの・・・藤井さん。私、眠れないです。」

 「ん?明るくて眠れないかな?」

 藤井さんは、電気を消そうと立ち上がり、壁のスイッチに手を伸ばす。焦った私は、ベッドから出て藤井さんの腕に手を掛けた。

 「あ・・・消さないでください。そ、そうじゃなくて、あの・・・藤井さんと2人きりだから。」

 「・・・そんなこと言われたら、公園で抱きつかれた後の続きをしたくなっちゃうよ。」

 「え!?」

 「琴野ちゃん、もう完全に酔い醒めたかな?酔った勢いで俺と寝て後悔したりしないよね?」

 「もう酔っていません。藤井さんこそ、私でいいんですか。」

 「酔った勢いで告白されたんじゃなくて、安心したよ。」

 藤井さんは、ホッとしたような表情で、私を抱きしめてキスした。

 「あの・・・やっぱり、電気消してください。」

 「琴野ちゃんの裸、じっくり見てからじゃダメ?」

 「・・・恥ずかしいです。」

 「じゃあ、俺も脱ぐよ。」

 壁にもたれかかった私のパジャマのボタンを外しながら、藤井さんは自分もシャツを脱ぎ始めた。

「あ・・。桜の花びら。」

 藤井さんがYシャツを脱いだ瞬間、桜の花びらがヒラヒラと舞い落ちて、私のつま先の上に落ちた。

 「花見中に、シャツに紛れこんだのかなぁ。」

 「いままで気が付かなかったなんて、藤井さんって案外、抜けてるんですね。」

 私がクスッと笑うと、藤井さんは拗ねたような表情を浮かべた。

 「琴野ちゃんの介抱で、必死だったんでしょー。」

 一瞬おどけたようにそういった藤井さんの顔が、急に真剣になった。

 「でも、マジで心配した。部長に嫌なこと言われて傷ついたんじゃないかって。」

 「・・・藤井さん。」

 「だから、君に触っていいか戸惑ったけど・・もう抑えきれないみたいだ。」

 藤井さんは、私のつま先に「フッ」と息を吐きかけると、桜の花びらが舞い上がって床に落ちた。

   「琴野ちゃんの肌、白くて綺麗だよ。」

 甘い言葉を囁く藤井さん・・・。私、ずっとこんな風に2人で過ごせる時間を夢見ていたんだった。

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