ドSな旦那にバイブを仕込まれ指示されたのは、初恋の人が働く店での“キケンなおつかい”だった。 (ページ 4)
「ん、やっぱ香奈ちゃんエロいね。誰かくるって思ったら締まったんだけど」
ペチンとお尻を叩きながら笑う。いつも優しい笑顔で迎えてくれていた高橋くんが、セックスになるとこんな風に変わってしまうことを初めて知った。
そして、こんな風に荒々しく抱くんだ、ってことにも驚いて……気付くと私は自分でも腰を振っていた。
彼のモノがもっと欲しい、と思うようになっていたから。
「あっ、あっ、あっ……いく、いく、いきそう……!」
頭の奥で白い光が見え、私は一際大きな声を上げた。そして壁に手をつきながらゆっくりと床に崩れ落ちる。
そんな私の様子を見た高橋くんはモノを抜き取り、それを私の目の前に突き出した。
「香奈ちゃんのイヤラシイ蜜がいっぱいついてる」
「やん……」
私が顔を背けると、ぐりぐりと口元に押し当ててきた。きれいにして、ということらしい。
確かに高橋くんのモノはまだしっかりと勃っていて、まだ満足していないようだった。
「ん……分かった」
あ、と大きく口を開けて彼のモノを含む。根元をしっかりと手で持ち、舌先で先端を舐めながら吸いつく。
「はぁ……香奈ちゃ、んっ、エッチ……」
高橋くんの辛そうな声を聞いていると、もっと気持ちよくしてあげたいという妙な使命感を覚えた。
それと同時に、股の間がジンジンとうずく。
「あっ、香奈ちゃん……俺もう限界、口に出していい?」
「いいよ……出して」
「はぁ、はぁ、うっ……あっ」
高橋くんは私の頭を掴みながら口の中に放った。私は彼のモノをゴシゴシとこすりながら、最後のひとしずくまでも惜しむように舌の上へ出させる。
それをゴクンと飲み込み、高橋くんを見てにっこりと微笑んだ。
「はぁ……まさか、俺の初恋だったコとこんなことになるなんて……」
「そうなの? 私も、高橋くんが……初恋なんだけど」
「え、嘘でしょ?」
「本当だってば」
「……そっかぁ。初恋は実らないっていうけど、本当なんだね」
高橋くんは乱れた制服を整えながら、寂しげに笑った。それは、私の左手の薬指に指輪が光っているから……というのは、私の思い上がりだろうか。
つい、彼と結婚していたら――なんて、たらればの話が脳裏に浮かんでしまう。けれど、それは決して口にしちゃいけないことぐらい分かっている。
私はスカートのシワをパンパンと伸ばして、返事をうやむやにした。
「ごめんね、変なことに巻き込んじゃって。今日は買い物出来そうにないから、このまま帰るよ」
「あ、うん。っていうか、大丈夫? 旦那さんに怒られない?」
「あー……大丈夫。何とかするよ」
ごめんね、と私はもう一度高橋くんに謝ってからドアノブに手をかけた。
すると高橋くんは手を重ねてきて、
「帰ったら、また旦那さんとセックスするの?」
と聞いてきた。
「わ……分かんない」
曖昧に答えたものの、本当は旦那とセックスをすることが決まっていた。だって、そのために私にコンドームを買わせに行かせたんだから。
「そっか。じゃあ、旦那さんによろしく言っといて」
「う、うん……」
よろしくなんて言えないよ、と思いながら、私はバックヤードから出た。
店員さんと目を合わせないようにそそくさと店を後にすると、足早に家に向かう。
何か忘れているような気がしたけど……それは高橋くんとセックスをした後ろめたさだろう、と頭を振ってかき消した。
「(帰ったらすぐにお風呂に入って、彼の匂いを消さないと……)」
そんなことばかり考えていた私は、家で待ち構えていた旦那に指摘されるまで気付かなかった。
それは、バイブを高橋くんのお店に忘れてしまったということだった。
と同時に、高橋くんが「旦那さんによろしく」と言った意味も理解することになる。
私がバイブを忘れていることを教えなかったのは、もしかしたら旦那への“宣戦布告”なのかもしれない――。
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