有名な浮名を持つ上司に騙し討ちを仕掛けて終わらせる片想い (ページ 6)
腰を掴む手に、力がこもったのを感じる。
「…嫌なわけ、ないです」
一瞬、間があって、私は悲鳴を上げた。
「あっ、ああっ、あっ…!」
我慢の限界だったみたいに、一息で奥まで差し込むと、壁に手をついていられないくらいの勢いで突き上げる。
片手は前を押し潰すように転がして、私はそのたびあえなく跳ねる。
真中、と加賀さんが囁いた。
私は喘ぐだけで、返事なんてできない。
息を噛み殺している気配が、耳元に届く。
それでも漏れるかすれた呻きが、私をますます熱くした。
「は…あっ、ん…っ」
ダメ、もう来そう。
すがるものがなくて、壁を引っ掻く。
私の状態を察したのか、加賀さんが背後から私の手を握って、首筋や耳や頬に、めちゃくちゃな熱いキスをした。
私は全部手放して、叫びながら震えた。
「別人ですね?」
出しきった加賀さんが、私にもたれて、荒い息を吐いている。
否定も肯定もしないのは、恥ずかしいか、悔しいんだろう。
「顔見知りが相手だと、まるで無口…」
顔を私の肩に押しつけたまま、なんの反応もない。
もしかして、ふてくされてる。
「笑うな」
「どっちの加賀さんも好きです」
「くそ…」
加賀さんは忌々しげに呟くと、私の顎をぐいと後ろにねじ曲げて。
腹立ち紛れの、熱っぽいキスをくれた。
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