有名な浮名を持つ上司に騙し討ちを仕掛けて終わらせる片想い (ページ 4)

「あ、あの、今さらなんですけど、金曜は、申し訳…」

「これ、お前のだろう」

「え?」

顔を上げると、何か差し出していた。

メイク直し用のパウダーだ。

部屋に置いてきちゃったんだ!

「すみません、わざわざ…!」

受け取ろうとした時、それがさっと引っ込められて、代わりに眼鏡を取られた。

急に視界がぼやけて、うろたえているところに、唇が重なってくる。

探りを入れるでもなく、当然のように舌が押し入ってきた。

その感触に、また記憶が鮮明になって身体が疼く。

誰もいない廊下に、二人の呼吸が響いた。

「…くそっ」

加賀さんは呟き、非常用のドアのほうへ私を引っ張っていく。

ドアの先には、管理会社しか用のない、がらんとしたスペースがある。

「加賀さん…」

壁を向かされた私の胸元を、熱い手がかき抱く。

丁寧とは言えない手つきでシャツのボタンを最低限だけ外し、下着の中に滑り込んできて素肌を強く掴んだ。

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