遊郭という籠の中で過ごす最初で最後の幸せな一夜 (ページ 4)
「ねぇ、祥吉。私に、最初で最後の思い出を頂戴?」
「夢…?」
「こんな汚れてきたない私だけど…今晩だけ、一夜だけの祥吉のお嫁さんにして……?」
これだけの色男だ。
江戸は広いから、きっと直ぐに良いお嫁さんが見つかる。
こんな薄汚れた私なんかのために、無駄金を注ぎ込んで祥吉の未来を駄目にしたくない。
(大丈夫…諦めるのは、いつもの事じゃない)
そう言うと、怪訝な顔をする祥吉の手を引き、褥の上に座らせる。
夢は自分の腰紐をとき、スルスルと着物を脱いでいく。
「ちょ…ちょっと、おいっ!夢っ!!?」
真っ赤な顔になり慌てる祥吉の唇に、夢はそっと口付ける。
祥吉の唇に、夢の赤い紅がほんのりと移る。
「祥吉…いえ、わたくしの愛しい祥吉さま。夢を優しく抱いてくださいな…」
そう言うと夢は最後の一枚をハラリと脱ぎ捨て、白く艶やかな生肌を祥吉の前に晒す。
(あぁ…どうしよぅ……恥ずかしぃ)
夢は恥ずかしくなり、それだけで感じてしまう。
今まで沢山の男の前で脱いできたが、羞恥で下半身が疼くのは生まれて初めてだ。
「夢っ……」
祥吉はそんな夢の姿に我慢出来ず、そのまま押し倒し、唇から首や胸元にと口付け舐めていく。
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