「流石にもう、隠せないんだけど」頻繁にノートを借りにくる彼の悪いところ (ページ 4)

何を着るか迷って、結局レースのキャミワンピースだけ身につけてシャワールームを出た。

部屋のドアを開ける音に、ベッドに腰掛けた啓介が振り返る。

先にシャワーを済ませた啓介はバスタオルを腰に巻いた姿で、程よく筋肉のついた上半身をあられもなく剥き出している。

先ほどは意識しないようすぐにバスルームに逃げ込んだのだけれど、もう私には逃げ場などなかった。

啓介がカーテンを閉めたのだろう、室内は薄暗いとはいえ互いの姿はちゃんと見える。

躊躇いから足を止めた私の方へ、啓介が腕を伸ばした。

「俺のこと、そんな風に見れない?」

「や、まだ良く分かんないしパニックになってるけど……」

手を取った私を引き寄せながら、立ち上がった啓介が寂しそうな声で問いかける。

口ごもった私の心を見抜いたのか、彼はくすりと微笑んだ。

「けど?」

「……大丈夫、多分」

そう口にした瞬間にぎゅっと抱きしめられ、とくんと心臓が高鳴る。

肩や足に触れる啓介の素肌が、少しだけ震えているような気がした。

「っ!」

首筋に、鈍い痛みが落ちる。

刺激に跳ねた身体を宥めるように、啓介の大きな手が私の背中を撫でた。

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