「流石にもう、隠せないんだけど」頻繁にノートを借りにくる彼の悪いところ (ページ 3)

ちゅ、ちゅと目元や頬に落とされる口づけは優しく、大事にされていると伝わって頬が熱を持つ。

とうとう唇へと近づいた啓介の気配に、私は思わずびくりと肩を揺らした。

「嫌か?」

「や、嫌じゃないけどっ、!」

熱っぽい啓介の吐息が私の唇にかかる。

少しでも動いたら唇と唇が触れそうな距離に震えながら返事を返すと、その途端ぽってりとした啓介の唇が私の唇を覆った。

「ん、んんっ、んう!」

先ほどの口づけとは打って変わって、情熱的に煽るようなキス。

たやすく私の口内へ侵入した啓介の舌は、焦らすように上あごを撫でた。

舌を絡め口内を蹂躙する啓介の動きは性急で、息苦しさと溶けおちるような熱さが私を侵食する。

唇が離れ舌が解けたので目を開けると、啓介の赤い舌が目に焼き付いた。

抱き寄せられ啓介の隣に腰掛けると、彼は私のブラウスのボタンに手をかける。

慌ててその手を取った私に、啓介は不安で曇った表情を見せた。

「や、あの、シャワー、浴びたい……」

そんな彼の表情に焦って口を開いたはいいものの、この先を受け入れているようでだんだん語尾が小さくなる私。

あーと言葉にならない声を漏らした啓介が、がしがしと頭を掻いた。

「逃げるなよ」

「逃げないってば!」

不名誉な言葉に反射的に大きな声をあげる私。

啓介はいつものようにくしゃりと笑って、それから私の頭を軽く撫でた。

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