その手が、唇が、官能を掻き立てるから。理性をなくした路地裏での話 (ページ 5)

「とって喰われるかと思った」

笑いを含んだ声がそういった。

「この指が・・欲しかったの」

朱理が囁くような声でいう。

「どうしたかった?」

朱理はそれには答えず、貴史の指をその舌先で絡め取った。

指先に伝わるその湿った暖かい、吸い付くような感触は、彼に朱理の中を彷彿とさせた。

彼のモノがドクン、と脈打つ。

(これじゃ、ミイラ取りがミイラだな)

貴史は苦笑して、反対の手を朱理のそのニットのサマーセーターの中に滑り込ませる。

はりのある胸に貴史のその指先が触れると、朱理が指を含んだ口元をぎゅっとすぼめ、呻いた。

貴史が、指先で彼女のその先端をつまみあげる。

「んッ」

口元が緩んだ隙に、貴史は指でを引き抜き、朱理のそのスカートの中に滑り込ませる。

「あ・・」

ビクッと朱理が体を震わせた。指先がするん、と中に滑り込む。

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