アルバイト三昧で疲れきった私を、後輩くんが全部包み込んでくれる幸せえっち (ページ 2)
「大したものはつくれないんですけどね」
そんなことを言いながら、具材たっぷりの雑炊を用意してくれた。大したものじゃないとか言ってたけど、十分すぎるご飯。
「夜も遅いから、さっと食べられる雑炊にしてみました。どうぞ」
「いただきます」
スプーンですくって、そのまま口を付ける。
「どうですか?」
「…おいしい」
「よかった~。ん、ほんとだ。我ながら結構よくできてる」
「すっごくおいしい」
「褒めすぎですよ…雪美さん?」
「ん?」
「いや、どうかしましたか?」
望月君にそう言われてから、自分が泣いているのに気づいた。
「あれ、ごめん。ティッシュもらってもいい?」
「はい、大丈夫ですけど」
どんどん涙が溢れてきて、せっかく作ってもらった雑炊が冷めちゃうなとか思った。
「はぁ…久しぶりに人が作ってくれたご飯食べたからかな」
「普段はどうしてるんですか」
「最近は、塩むすびとかしか食べてなかったかも。ふりかけとかは使ったりするけど」
自分で言っておいて、よくない食生活だなと思う。
「ご飯の優先度合がかなり低くなってるんだよね。だめだなぁ。手作りのご飯食べるだけで泣けるようになってるとは」
そう言いきってから、ぐちゃぐちゃの顔で雑炊をかき込む。
「おいしい。めちゃくちゃおいしいっ、はぁ…結構今幸せ」
そんな私の様子をしばらく見つめていた彼だけど、何の前触れもなくいきなり立ち上がったから、私の視線はそちらに移った。
「どうしたの?」
「…僕がおいしいご飯作りますから!だから、その…僕と付き合ってほしいんです」
「え」
「僕は、それなりに裕福な家庭に産まれてきたと思います、仕送りもしてもらってるし。雪美さんの苦労を全部理解することはできないと思う…けど、温かいご飯なら作れます。そばにいることならできます」
「望月くん…」
「雪美さん。好きです」
たった4文字。その4文字に私の心は掴まれてしまった。
「…私も」
まだ、少し震えている声でそう言う。それを聞いた彼は私の頬に手を伸ばすと、涙をぬぐってくれた。そのまま唇がそっと重なる。不快な気持ちはまったくなくて、彼の背中に手をまわした。
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