温和な彼が実は経験豊富という噂を耳にして、焦りと嫉妬のキャンディキスを仕掛ける話 (ページ 3)

 どうやら話をまとめると、カズヤと友人は共謀して私に焼きもちを妬かせようとしたらしい。就活で忙しくなって私に構う時間が減るのが寂しいあまりに、つい出来心だったのだと。

「…じゃあ、元カノ複数人と揉めてたって話はウソなの…?」

 カズヤの胸元に顔を押し当てながら、おずおずと尋ねる。しばらく何も反応が無いので、不安になって顔を上げると、彼は目を点にして呆気にとられていた。

「…え、俺そんな女遊び激しいヤツの設定だったの…?」

「そうだよ。…もしかしたら誰かとヨリ戻しちゃうかもって…嫌な想像ばっかりしちゃった」

 カズヤの服をぎゅっと握る。ほんの苛立ちに安堵の波が続々と押し寄せてきて、怒るに怒れない。気が変になりそうだ。

「経験豊富な俺は嫌?」

 そう言ってカズヤは再び私をソファに押し倒すと、あざとく笑いながら首を傾げてみせた。慣れた手つきでズボンをするりと脱がされ、ショーツが露わになる。

 満足そうに微笑みながら、カズヤは愛液で濡れたショーツの染みを指先でなぞった。
 

 …実は本当に経験豊富なんじゃないのか、この男は。
 そんな疑惑を当人にぶつける間もなく、私の口は早くも嬌声を漏らし始めていた。

「…ふ、…カズヤ…」

「心配させてごめんね。…サナエ、好きだよ」

 カズヤの甘い囁きに、ふわりとキャンディの淡い香りが乗る。不慣れなキャンディキスに始まり、カズヤの執拗なキスによって、私の秘部は既に蕩けきっていた。

 ちゅく、と小さな音を立てて、私の蜜口はカズヤの指を受け入れる。濡れそぼった中を優しく掻き混ぜられたかと思えば、親指で無遠慮にぐちゅりと蕾を押し潰された。

 私の腰が小刻みに揺れ動くたびに、カズヤの表情から余裕が薄れていく。早くも果ててしまいそうになると、カズヤは耳元で「イッていいよ」と呟き、私の耳朶を甘噛みした。

「ん…あッ――!」

 一瞬にして、鋭い電流が駆け抜ける。余韻に浸る間もなく、カズヤは私に何度目かわからないキスを施した。

「サナエ、ごめ…、も、限界…」

 そんな途切れ途切れの言葉を皮切りに、熟れた私の内側を固く強ばった熱が突き抜けた。待ち望んでいた大きな刺激に、思わず肩が跳ねる。

「や、あッ…カズヤ、カズヤ…」

 快感で頭が朦朧としながらも、覚束ない口で必死に呼び続けるのは、他でもない愛する彼の名前。カズヤが動くたびに、私は彼の体重を抱きとめてソファに深く沈み込んでいく。

「ん…ッ…サナエかわい…可愛い…」

 白々しい台詞などではなく、自然に漏れ出た愛する人の「可愛い」に、お腹の中がきゅんと疼く。

 縋るように、彼の首に腕を回した。どこにも行かないでよ、という重たい願いを飲み込んで。

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