幼馴染であり同期の彼。恋愛感情はないと思ってたけど、ある日飲み会で終電を逃すと… (ページ 3)

「しゃーねぇビジホでもとるか。明日は土曜なんだから、オメーも付き合え」

「は!?なに勝手に…」

「俺様の言うことは聞け。以上」

「何生意気なこと…」

あかねにはなぜか、この日の悠は、いつにも増して強引だったのを覚えていた。

この日を境に、男女の友情が成立しないことを証明することになるなんて、思ってもみなかったのだ。

*****

そうして2人は、ろくに買い物もしないままホテルへとやってきてしまった。

「…ねえ、泊まるとしたら飲み足りないんだけど」

「…俺も思った、なんでコンビニ寄ってこなかったんだ、俺ら…」

「ホントよ。悠がすごい勢いでホテル入っていくんだもん、止められないよね」

「…」

悠は、あかねにそんなことを言われながらワイシャツのボタンを緩める。

そのしぐさに何だかドキッとしてしまって、思わずあかねは目をそらしてしまった。

「…まあ、いいだろ。腹でも減ったら、ピザでも頼むか」

「…私の言ってんのは酒が足りないってことよ」

「…じゃあ、あとで買いにでも行くか」

「…はあ。なんか疲れた…、シャワー浴びて来るね、とりあえず」

「あ、ああ」

悠は、いつにも増してソワソワしている。…当たり前だ。あかねもソワソワしているんだから。

あかねは、酒がないとこんなベッドのある狭い密室では、さすがの悠とも2人きりではいられない。

気まずさに逃れるためにシャワールームへ逃げたが、こんなの、多分時間の問題だ。

きっと今日、私は初めて悠に抱かれる。

そんな覚悟を、あかねは少しだけしていた。

*****

シャワーから上がると、悠は備え付けの水を飲んでテレビを見ていた。

あかねの姿を見て、あからさまに赤面してしまう悠。

「…な、何よ」

「…な、なんでも…!…お、俺も、シャワー浴びてくる」

「…うん」

がばっと立ち上がり、シャワールームへ行こうとする。悠は、その直前、立ち止まって言ったのだ。

「…気付いてると思うけど、抱かれる覚悟、しておいて」

「…!」

ばたん、と勢いよく閉められたドアの、余韻。

あかねは、頭が真っ白になっていた。

こんなにも、直球で来るなんて。

そうと分っていても、心の準備が追い付かない。

高鳴る鼓動は、何を意味しているのか。

もうあかねは、身を任せることにした。…男女の友情なんて、成立しない。そんなことは分かっている。

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