幼馴染であり同期の彼。恋愛感情はないと思ってたけど、ある日飲み会で終電を逃すと… (ページ 3)
「しゃーねぇビジホでもとるか。明日は土曜なんだから、オメーも付き合え」
「は!?なに勝手に…」
「俺様の言うことは聞け。以上」
「何生意気なこと…」
あかねにはなぜか、この日の悠は、いつにも増して強引だったのを覚えていた。
この日を境に、男女の友情が成立しないことを証明することになるなんて、思ってもみなかったのだ。
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そうして2人は、ろくに買い物もしないままホテルへとやってきてしまった。
「…ねえ、泊まるとしたら飲み足りないんだけど」
「…俺も思った、なんでコンビニ寄ってこなかったんだ、俺ら…」
「ホントよ。悠がすごい勢いでホテル入っていくんだもん、止められないよね」
「…」
悠は、あかねにそんなことを言われながらワイシャツのボタンを緩める。
そのしぐさに何だかドキッとしてしまって、思わずあかねは目をそらしてしまった。
「…まあ、いいだろ。腹でも減ったら、ピザでも頼むか」
「…私の言ってんのは酒が足りないってことよ」
「…じゃあ、あとで買いにでも行くか」
「…はあ。なんか疲れた…、シャワー浴びて来るね、とりあえず」
「あ、ああ」
悠は、いつにも増してソワソワしている。…当たり前だ。あかねもソワソワしているんだから。
あかねは、酒がないとこんなベッドのある狭い密室では、さすがの悠とも2人きりではいられない。
気まずさに逃れるためにシャワールームへ逃げたが、こんなの、多分時間の問題だ。
きっと今日、私は初めて悠に抱かれる。
そんな覚悟を、あかねは少しだけしていた。
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シャワーから上がると、悠は備え付けの水を飲んでテレビを見ていた。
あかねの姿を見て、あからさまに赤面してしまう悠。
「…な、何よ」
「…な、なんでも…!…お、俺も、シャワー浴びてくる」
「…うん」
がばっと立ち上がり、シャワールームへ行こうとする。悠は、その直前、立ち止まって言ったのだ。
「…気付いてると思うけど、抱かれる覚悟、しておいて」
「…!」
ばたん、と勢いよく閉められたドアの、余韻。
あかねは、頭が真っ白になっていた。
こんなにも、直球で来るなんて。
そうと分っていても、心の準備が追い付かない。
高鳴る鼓動は、何を意味しているのか。
もうあかねは、身を任せることにした。…男女の友情なんて、成立しない。そんなことは分かっている。
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