幼馴染であり同期の彼。恋愛感情はないと思ってたけど、ある日飲み会で終電を逃すと… (ページ 2)
「すいません、私、明日早いんですよ、用事あって…」
「もー!先輩の誘い断わるなんてー!」
「先輩も酔いすぎなんで。今日はおとなしく帰ってくださいね。お疲れ様でした!」
あかねは半ば強引に先輩をタクシーに押し込むと、悠から指定された居酒屋へ向かった。
指定されたのは、いかにも大衆居酒屋というような造りの安っぽい店。
しかし、2人で飲むには、最高にちょうどいい場所だった。
ガラリ、と引き戸を開けると、生ビールのジョッキを片手に焼き鳥をほお張る悠がいた。
「おう、おせーぞあかね」
「…こっちは酔っぱらいの介抱で忙しかったんだっつーの」
あかねは悠の隣に腰かけると、同じくビールを注文した。
「まじで先輩ダル絡みし過ぎ。何回もおんなじこと聞いてくんなっつーの」
「…まあまあ、新人に絡みたかったんだよ、きっと」
「それにしてもだろ。俺、会社での接し方考えようかな…」
こうして悠と飲みに行くのは珍しい事ではないが、こんな風に急に呼ばれるのは割と珍しいなと思っていた。
「…何、なんか言われたの、さっき?」
「あー、なんか、俺のこと狙ってもいいのかー、みたいな、変なこと言われてさー」
「え、先輩、悠のこと好きだったの?」
「いやしらんけど。急に言われたからびっくりしてさ。あかねの隣でもそんな話してたの?」
「…いや、私のほうは別に…」
あかねはビールを2,3口飲むと、なんとなく気まずくて目をそらしてしまった。
恋愛感情はない。しかし、悠とのことを聞かれていたので、なかなかいい返しが思いつかなかった。
「まあ、同じようなもんだよね。幼馴染のうちらが、昔どんなことしてたの、とか、そんな他愛ない事」
「ふーん」
そう言うと、悠は枝豆をつまみながら仕事の愚痴やら何やらをあかねに話し続けた。
悠の愚痴に付き合うのは嫌いじゃなかった。
愚痴の中にも、めちゃくちゃ面白い小ネタとかが入っているので、聞いていて飽きないのだ。
そうして、時間も忘れて語り明かしたころ、それは起こった。
「そろっと帰るかー。悪いな、付き合わせて」
「いいよ。悠の愚痴マジで面白いからずっと聞いてられる、ふふっ」
「そーかい。んじゃ聞いてくれたお礼にココおごったる」
「まじでー!?ごちでーす♡」
ほろ酔い気分でノリノリな会話をしていると、ふと時間が気になって時計を見る。
すると、時刻は1時前を指していた。
「やっば、油断してた…終電逃した」
「…まじで?」
2人は顔を見合わせると、一瞬落胆するが、悠は一瞬で吹っ切れてこう言った。
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