引っ越して数日。あいさつ回りをしてから周囲が少し変?ある日住人のイケメンが… (ページ 2)
「…はい?」
「…あ、初めまして!私たち、最近越してきた者です。…コレ、つまらないものですが…」
出てきた男性は、すごく整った顔立ちをしていた。
眉毛がきりっとしていて、それでいて、男らしく筋肉が程よく付いた腕。
柚菜も、彼を見てドキッとしてしまったのは事実だった。
「…ご丁寧に、ありがとうございます。遊佐、と申します」
「遊佐さん。どうぞ、よろしくお願いします」
遊佐は、にっこりと笑って、粗品を受け取る。
それとなく会話をした後、柚菜たちは遊佐の部屋を後にした。
あいさつ回りが終わると、2人は部屋へ戻り、どっと疲れを感じていた。
「はぁ…、緊張しすぎて疲れた…」
「まあ、最初は肝心だからな。留守の家とかがなくて、よかったんじゃない?逆に」
「そうだね。みんなに挨拶できたし、よかったかな」
柚菜は疲れた心を落ち着かせるために、2人分のコーヒーを淹れる。
「…そう言えば、さ」
「んー?」
「隣に住んでる、遊佐って人、めっちゃイケメンだったな」
「ね!私も思った!私たちより、少し年上くらいかな?」
「…狙われんなよ~?柚菜、マジで無防備な時あるから」
「もー、そんなドラマみたいなこと、本気であると思ってんの?ないわよ。私だって仕事してるんだし」
「…まーな?」
「変なこと言ってないの。ほら、コーヒー」
「ん、ありがとー♡」
そう言うと、旦那は柚菜にキスをすると、彼女の淹れたコーヒーを満足げにすすった。
ニコニコと笑顔の柚菜だったが、本当に旦那の言ったとおりになるなんて思ってもみなかったのだ。
*****
そして次の日。
旦那は仕事、柚菜は久しぶりに何の予定もない休みの日だった。
「はぁ~、家事も終わったし、なーにして過ごそっかなぁ」
午前10時、一通りの家事を終えた柚菜は、ご機嫌でテレビを見ていた。
すると、突然チャイムが鳴った。
「…あれ、誰だろ…、通販、なんか頼んでたっけ?」
モニターを見ると、そこには、昨日挨拶をした隣人、遊佐が立っていた。
「こんにちは。回覧板を持ってきました」
「あ…はーい!今出ますね!」
旦那以外の男とろくに話さない柚菜は、久しぶりのイケメンに少しだけ心が躍っていた。
ガチャリとドアを開けると、手に回覧を持った遊佐がいた。
「お忙しいところすいません、ポストに入れておけばよかったですかね?」
「いいえ!こっちも、家のこと終わったところだったので。…あ、せっかくだし、上がっていきますか?」
「…え、いいんですか?」
「ど、どうぞどうぞ!お隣さんですし、仲良くしてほしいですっ」
「…じゃあ、お言葉に甘えようかな」
柚菜は、持ち前の人の良さを発揮してしまい、後にも引けず遊佐を家に入れてしまった。
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