大好きな先輩と、突然の雨でホテルに避難。告白したら両想いだったのであまあまSEX (ページ 4)

 どうにか買った服だけは濡らさないようにして、軒先に逃げ込んだ。

 すぐ近くに落ち着けるような場所は見当たらない。調べたカフェまではまだ少し距離があるし、駅まで戻るのはもっと遠い。

「俺、傘買ってくるよ。濡れちゃったし、感想はまた今度にしよう」

「……傘を買ってきたら、駅まで戻って、解散ですか?」

「うん。寒いでしょ、震えてるよ。早く帰…」

「嫌です…」

「奈帆さん?」

 雨にかき消されて聞こえなかったのか、先輩が不思議そうにこちらを見る。

 嫌だ。まだ今日を終わりにしたくない。

 辺りを見回す。ああ、あれがいい。

 決意して、勇気を振り絞って、半ば叫ぶように言う。

「私、雨宿りして、新しい服に着替えたいです! あそこで!」

 雨で視界が悪い中、唯一はっきりと主張していたラブホテルのネオンを指差した。

*****

 広いベッドに横並びで座る。

 シャワーを浴びた和弥先輩は、前髪を下ろして眼鏡をかけていた。少し前髪が短いけど、ほとんどいつもと同じ姿に安心する。

 私もシャワーを浴びた。ヘアメイクをもう一度するのは時間がかかるから首から下だけだけど、濡れた服を脱いで温かいお湯を浴びて温まった。

 先輩も私も部屋にあったガウンを着ている。今日買った服に着替えたいけど、気まずくて動けない。だって、付き合ってもいないのに先輩をホテルに連れ込んでしまった。

 好きでもない相手とこんな場所にいたら大問題だ。言うしかない。

 静かな部屋で自分の鼓動だけがとんでもなくうるさい。だけどなるべく落ち着いてゆっくりと告げる。恥ずかしいので、目は合わせられない。

「先輩…好きです」

「俺も」

 即答されて、驚いて先輩を見る。いつもの柔らかい笑顔とは違う、真剣な顔。

「奈帆さん。俺、本当は今日が楽しみでたまらなかったんだよ。美容院行って、ワックスの付け方教えてもらって、服も買いに行って、店員さんに丸ごと選んでもらった。今日みたいな服は初めて着たし、一着しか持ってない。コンタクトも初めて付けたし、眉毛も初めて剃った。奈帆さんは違うかもしれないけど、デートだと思ってすごく嬉しかった」

 嬉しさが込み上げてくる。同じだ、私と。

「…本当はもっと早く集合してランチを一緒に食べたかったですか?」

「え…うん、そうだよ」

「楽しみすぎて、一時間以上も早く着いちゃいました?」

「うん」

「でも緊張してるからカフェで落ち着くこともできなくて」

「うん」

「水曜日の映画には全然集中してなかったし、今日観た予告編の話題で次のデートを誘おうと思ったりとか」

「な、何でそこまで…」

 狼狽える先輩を見て、吹き出してしまった。

 なんだ、ずっと同じ気持ちだったんだ。

*****

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