大好きな先輩と、突然の雨でホテルに避難。告白したら両想いだったのであまあまSEX (ページ 2)

 それから私たちは水曜日のこの時間、二人で過ごすようになった。

「奈帆さん。今日は観る前に少し話をしてもいい?」

 差し出されたのは、今週末に公開する映画のチケット。

「一緒に観に行かない? …俺と出掛けるのが、嫌じゃなければ」

「行きます」

 考えるより先に答えていた。先輩と出掛けるチャンスを逃すまいと、本能が働いたんだと思う。

 和弥先輩と、デートだ。

「よかった。土曜日の15時の回だけど、時間は大丈夫?」

「大丈夫です。すごく楽しみです」

「え…あ、奈帆さん、前にこの監督の作品気に入ってたもんね。映画楽しみだね」

 違います、私が楽しみなのは先輩とのデートです。先輩にとってはデートじゃなくてただ映画を一緒に観るだけだろうけど。頭の中は何を着ていくか、土曜日までに美容院の予約が取れるかでいっぱいです。

 映画の時間の少し前に待ち合わせの約束をした。本当はもっと早く会ってランチを一緒に食べたい。けど、がっついて難色を示されたら嫌だ。そうだ、予告で気になる映画をピックアップして、それを一緒に観ませんかと誘ってみよう。そうしたら、次の機会が生まれる。

 願ってもないチャンスに、どの授業を受けている時よりも頭をフルに回転させた。当然、この日観た映画には全く集中できなかった。

*****

 約束の時間より一時間以上も早く駅に着いてしまった。

 カフェにでも入った方がいいとわかっている。でもきっと今は飲み物なんて喉を通らない。

 明らかに鼓動はいつもより速いし、そわそわして全然落ち着かない。

 立ちっぱなしでいいから待っていようと、約束をした出口に向けて階段を登る。やっぱり先輩の姿は無い。

 同じように待ち合わせをしているであろう男性の近くを避けようとしたら、男性がふと顔を上げて、目が合った。

「あれ…おはよう」

 紛れもなく聞き慣れた和弥先輩の声。

 よく見たら、知っている顔だ。髪型が違うし、眼鏡もしていないけど。主張の控えめな目と、薄い唇。照れ臭そうな笑顔。大好きな先輩がそこにいた。

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