片思いしていた彼が童貞と知り、初めての女になりたくて誘惑したら何故か嫉妬されて… (ページ 2)
友達という立場は無くなってしまうけど、優弥の初体験の相手として彼の記憶にきっといつまでも私が居座る。それって案外悪く無いかも。私は隣で呆然としている優弥の手を握った。
「な、奈琉?え、なに?」
「優弥、私が童貞もらってあげようか」
私の言葉に優弥は大きく目を見開き、それからアルコールが一気に回ったかのように真っ赤になった。
「は、お前何言って…んだよ。だって、お前は、その」
「友達、だもんね? やっぱ、そういう対象にはみれない?」
握った優弥の手をそっと自分の胸に触れさせる。さすが童貞、さらに真っ赤になって口をぱくつかせている。私自身も、こんなことしたことないからちょっと緊張する。でも、これを逃しちゃ私も先に進めそうにないから必死だ。
「そんな重く考えないでよ。私、しばらく彼氏もいなかったしちょっと欲求不満なんだよね」
女にだって性欲あるんだぞー?って言わせないでよ~!なんて軽口を叩いてみるが、優弥からの反応が来ない。どうしたものかと次の誘い文句を考えていると、胸に触れさせていた方とは逆の手が私の手を掴み、胸から離れていく。これは、失敗しちゃったかなぁと考えていると優弥はそのまま私の手をちょっと痛いくらい強く握ってきた。
「ちょ、優弥!痛いっ」
「あ、悪い…もう、店出よう」
ちょっと怖い顔をした優弥に手を引かれ、私達は居酒屋を出た。手は相変わらず優弥に握られたままで、無言の時間が私を後悔の坩堝に落とし込む。グルグルと脳内をネガティブな思考が巡っていると、ふいに名前が呼ばれた。
「奈琉」
「?」
「俺の家、でいい?」
「へ、え、何、え?飲み直す?」
「違う。童貞、貰ってくれんだろ?」
手を引かれ、優弥の胸に抱かれるほどに身体を引き寄せられる。見下ろしてくる優弥の顔は何年も付き合っているが、初めて見る顔で少しだけ怖くて、でもドキドキした。私は彼の言葉にコクリと頷く。それを合図に手を引かれるまま、私は優弥の家に行くことになった。
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