貧乏メイドの私は報酬目当てに芸術家のご主人様のお手伝いをする事になって

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貧乏メイドの私は報酬目当てに芸術家のご主人様のお手伝いをする事になって (ページ 1)

「秀成様、今何とおっしゃいました?」

「マリア、僕の芸術の被写体になって欲しいんだ」

「はぁ…」

聞き間違いでは無い現実に私は頭を抱えた。
目の前にいるこのお方は私が使えるお屋敷の三代目ご当主である秀成様。

秀成様は生まれた時から随分と可愛がられて今はアーティストを自称してあっちをふらふらこっちをふらふら、お金の心配をしたことが無い優雅な生活を送っている。
貧乏暮しからアルバイトとして相場の何倍もお給料が高いメイドをしている私としては何とも羨ましい話だ。

「秀成様のお仕事、…作品ってあのハレンチな奴ですよね…?」

「ハレンチとは酷いな。妖艶、豊麗、艶麗、優艶、エロティックは立派な芸術だよ」

秀成様の個展は定期的に開かれ私達使用人にも必ずチケットをプレゼントしてくれる。
しかし、私は最初の一度以外行ったことがない。

なぜなら秀成様の作品は主に性を取り扱っていて、個展会場にはあっちにもこっちにも縛られていたり辱められている女性の写真が飾られているから。
一応として世間的にこれが芸術だと認められていることは理解出来るが、私にはそれが芸術だとは思えない。

「でも君のその垂れた青い瞳、雪のように白い肌、豊かな乳房。全て僕の理想通りなんだよ!この通りだ!」

「お断りします!」

「なぜ!?」

「なぜって…」

恥ずかしいからに決まってるとみなまで言わずとも分かるだろうに、秀成様は膝を着いてショックを受ける。

「…次は和洋折衷で取りたいんだ…君ハーフだろう?本当に僕の理想にピッタリなんだ…ぜひ頼むよ…」

「そんなこと言われても困りますってば」

「謝礼金は弾むからさ!」

仕事に戻ろうとした私の肩を掴んで引き寄せた。
職権乱用、パワハラ、セクハラ、喉まで出て来た言葉は謝礼金という言葉に反応して飲み込まれてしまった。

「…おいくらほどですか?」

「…君の月給半年分ぐらい?」

「半年!?」

「拘束時間、作品数によってはもっと出す」

私は生唾を飲み込んだ。
貧乏とは悲しい。

「分かりました、お受けします。」

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