彼氏の友人と一線を越えた私。その背徳感からいつも以上の絶頂に乱れ悶える私

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彼氏の友人と一線を越えた私。その背徳感からいつも以上の絶頂に乱れ悶える私 (ページ 1)

京香は一度だけ浮気をしたことがある。三十二歳のとき、相手は彼の友人の隆司だった。

 隆司も同じ三十二歳、三人は会社の同期でもあり、仲の良い友人でもあった。

 隆司には二つ年下の彼女がいて、京香たちもすぐに彼女と意気投合し、四人で遊ぶことも多かった。ただくだらないことでバカ騒ぎしているだけで楽しい時代だったし、京香は隆司も彼女も大好きだった。

 知り合って七年、そろそろ結婚の話が出てもいいころだが、京香も彼もまだ大きな決断が出来ない。

 大きな喧嘩もなく大人の距離感で愛情を深めている二人を、隆司はずっと見守っていた。

 そんな隆司が、彼女が浮気をして精神的に参っていると彼から聞いた。実際、社内で見かける隆司はなんとなく覇気がない。

 そして、彼女も京香に相談をしてきた。

 相手は地元の先輩で元カレだということ。その場の雰囲気に負けて関係を持ったこと。そのあと先輩がしつこく電話をしたりメールを送ってくることで隆司にばれてしまったこと。

 でも隆司とは別れたくないこと。だから何とか隆司との関係を修復するのに協力してほしいと言われた。

 京香はどう答えていいのかわからなかった。浮気癖は男も女も治ることはないと思っている。

 あくまで二人の問題だし、面倒なことが嫌いな京香は関わりたくないことではあったけど、二人がまだ求め合っているのであれば友人として応援はしたい。

 だから隆司からSOSが出されたときも、まさかあんな展開になるなんて思ってもいなかったのだ。

 隆司から呼び出しがかかった金曜日の夜。京香の彼は出張中でいないので、二人でいつもの居酒屋で待ち合わせをした。

「ごめん、待った?」

 午後七時。賑わう店内の喧騒が、今日の二人には都合がよい。

「俺もさっき着いたから」

 テーブルに置かれたビールジョッキはもう半分以上減っていた。いつも温厚で明るい隆司が、苛立っているのが京香にはよくわかった。

 京香もとりあえずビールを頼み、乾杯をする。そしてすぐに隆司が口を開いた。

「京香も聞いただろ」

「うん、まぁ」

「俺のどこが気に入らないのか、あいつ言わないんだよ」

「隆司くんが悪いとかじゃないでしょ」

「だったら浮気なんてする?京香はしないだろ?」

「まぁ、人それぞれだとは思うけれど…」

「そうだとしても理由があるだろ。それに許せない自分も腹立たしい。京香はなんであいつが浮気したと思う?」

 こんな話が延々と繰り返された。真面目過ぎる隆司だから、彼女は窮屈で退屈に感じたのだと思う。自分を責める隆司を見ていると、とてもそんなことは言い出せない。

 浮気をするなら絶対にばれないようにとは、こういうときのためだと思う。当人以外は誰も幸せな気分にならないのだから。

 二人が飲み始めて三時間が過ぎた。ビールも何杯飲んだかわからなくなった。隆司は完全に酔っぱらっている。

「しっかりしてよ」

「大丈夫だよ」
 
 マスターが珍しい光景を見たと驚きながら、京香に送っていくよう声をかけた。

「京香ちゃん、頼んだよ」

「はい、ちゃんと家まで送ります」

 京香は何とか隆司を店から連れ出した。

「まだ飲ませてくれよ」

「わかった、家でね」

 居酒屋から隆司のマンションまで五分もかからない。夜風を感じゆっくり歩きながら、京香は隣の酔っぱらった隆司を見上げる。

 がっしり体型の隆司は強くワイルドに見えるのに、強引さはなくいつもレディーファースト。いつも彼女が優先で、なんでもわがままを聞いてあげていた。

 もちろん、彼女は隆司が好きだと言っているが、隆司との時間が日常になると、少し悪ぶった人が魅力的に映ったのかもしれない。なんだか理不尽な話だなと思う。

 もしも京香の彼氏が隆司だったら…。どんな付き合い方になっていたんだろう。
 
 そんなことをふと思わせる隆司の横顔だった。

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