義兄に依存しすぎるのが怖くて逃げようとしたら、お仕置きに快楽地獄に落とされて… (ページ 3)
「流花、場所はわかってるから、部屋の番号だけ教えて」
行為を終えるとすぐに、義兄から電話がかかってきた。
怒っていると思った義兄の声は思いのほか落ち着いている。
「ごめんなさい…」
「いいって言ったろ、隠し事さえしなければって」
私は義兄に部屋の番号を告げ、通話を切った。
「きみ、もしかして業者? 次の男がすぐ来るの?」
智也さんが冷めた目で私を見る。
「違うよ。業者じゃない。ただ束縛の強い彼氏がいて、私がどこにいるか言っておかないと大変なの」
「ふうん、俺もう行くね」
智也さんは、強面の男が強請りにでも来ると思ったらしく、そそくさと服を着て、部屋を出ていった。
私は、着衣を整えて、義兄を待つ。
*****
義兄に初めて会ったのは、私の20歳の誕生祝いと、母と義父との入籍祝いを兼ねたホテルのレストランでの食事会の席だった。
私が物心つかないうちに離婚した母は、十数年に渡る長い交際を経て、私が20歳になるのを待って義父と入籍した。
義父は素晴らしく優しい人で、母と私は蕩ける程に甘やかされ、私は義父を本当の父のように慕っていた。
義父には、ことあるごとに食事やテーマパークや、小旅行に連れて行ってもらったけれど、私より2歳年上の義兄が一緒に来たことは一度もなかった。
母と私を甘やかす傍ら、義父がずっと前妻によく似た義兄を憎み続けていたことは、後に義兄から聞かされて知ったけれど、義父が義兄を可愛がっていないことには薄々感づいていて、気になっていた。
義兄は、義父に紹介され、私に握手の手を差し出す。
その紹介の仕方は、謙遜というにはちょっと行き過ぎと思われるほど、義兄を貶めるもので、義兄は義父に憎悪のこもった視線を投げかける。
母ですら、義父に困惑したような視線を向け、動揺を隠さない。
義兄は私を射抜くような眼で見つめると、
「流花ちゃんにずっと会いたかったんだ。よろしくね」
と言って、はにかむような笑いを見せた。
宙に浮いたままの義兄の手を握り返すと、心臓が激しく脈を打つ。
父親の愛情を十数年にもわたって奪ってきた罪悪感に押しつぶされそうになって、縋りつくような眼で義兄を見る。
義兄は震える小動物を慰めるような優しい口調で、
「流花ちゃん、SNSのアカウント交換しよう」
と言って、アカウント名を教えてくれたので、自分のアカウントからフォローした。
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