大好きな図書館で憧れの司書さんに後ろの穴をじっくり開発されてしまうお話 (ページ 2)
赤間は色が白く、細身の背の高い男だった。長めの前髪が眼鏡にかかって、その眼鏡の奥はいつも冷静そうな瞳をしている。
チラっとこちらに視線を向けると赤間は軽く会釈をした。こちらも会釈を返す。
赤間さん、いつもかっこいいな…。書架の間に立って本を探す赤間の姿を目で追う。本を抜き出す長い指先、鋭い瞳、あの指でいじくられたい。あの瞳で見つめられたい…。
赤間が目的の本を抜き出して去って行った。
そっと書架に近づいて、赤間が戻した本を抜き出して開いて見る。それは地元の伝承についてまとめた本で、街の片隅の神社や交差点などが写真付きで解説されていた。高校の頃通った道だ。懐かしい…赤間が触った本をつい読み耽っていると
「熱心ですね」
と声がしてはっとした。
「その本、面白いですか」
赤間が本を指して言う。
「あ、はい…。知っている場所だったので、つい」
慌てて戻そうとしてばさり、と落としてしまった。
「すみませんっ」
拾おうとしてかがみ込むと、赤間も一緒に身をかがめて、耳元で囁いた。
「いつも見てますよ」
えっ…今なんて?
「いつも見てます。あなたの事。何をしてるか」
「な、何のことでしょうか?」
私の声が上ずってしまう。
「本フェチ、でしょう?僕もそうだ、だから分かる」
そんな事考えたこともなかった。フェチ?そうなの?
慌てて否定する。
「そんなんじゃないです。ただ散歩がてら通ってるだけで…」
「それで書架の角で一人でこそこそ、ですか?」
「な、何もしてません…」
「むつみさん」
赤間が私の名前を呼んだ。
「え、何で知って…」
初めて赤間が表情を変えるのを見た気がする。
口の端に穏やかな笑いを浮かべた。
「だっていつも貸出処理をしているじゃないですか。覚えちゃうんですよ」
なんて事だ、私の個人情報が…。
「閉館時間になったら、一階の管理室前で待っていて下さい。必ずですよ」
それからの数時間、私はぼんやりと時間を過ごした。いっそ逃げ出してしまいたかったが、住所も電話番号も登録済みだ。
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