友人カップルに同伴した私と彼は、初対面なのに一線を越えてしまいそう… (ページ 2)

「愛のあるセックスで、お互いに喜び合うか……愛も何もない、ただ性欲の捌け口のためだけに体を繋げ合うか、君ならどっちがいい?」

 問いの意味が分からなかった。

 男の言葉に私は恐怖し、襖の傍から離れることができない。

「僕は正直どっちでもいい。今この場で君を適当に抱いてもいいし、あの二人の中に混ざってもいいんだよ。行為そのものを眺めてるだけで、こんなにガッチガチになっちゃったコレを鎮められるなら」

 無視をして再び横になってしまえばよかったはずなのに、振り払われることのない手と、囁かれる言葉に体が力を奪われていった。

 就寝前までに見ていた希君の優しさの欠片もない。

 囁くように耳元で声を漏らしながらも、その瞳は理性を失った獣のように怪しく輝いていた。

「君は……どうしたい?」

 彼の男らしいごつごつとした手が、座り込んだ私の浴衣の隙間から、太腿部分へと伸びてくる。

 恐怖で声も何も出なかった。ただ体が震えるばかりだ。

「僕に処女を捧げてくれる?」

 ふるふると首を横に振ることしかできない。

 しかし瞬間的に口元の手を離されると、柔らかい感触の何かに唇を塞がれてしまった。

「……ンッ!? っ…っぅ──」

 イヤだ。怖い。止めて!

 そう口にしたいはずなのに、狂気を滲ませる希君の口内に全て飲み込まれてしまう。

 キスすら初めての私の舌を容赦なく絡めとられ、呼吸の方法を忘れてしまう。

 涙が零れ落ちてしまいそうだ。

 お昼までの様子とは全く違う、性欲にまみれたこの人は一体誰だろう。

「まさかはるかちゃんが初めてのキスだった?」

 途端に唇を離し、妖しく微笑む男を私は知らない。

「こ、これ以上は……ゃ…め、て…!」

 必死に喉を絞り上げて声を挙げる。

「ダメだよ。大きな声を出したら……友だちに聞こえちゃうでしょ?」

「声、我慢してくれたら今までにない気持ちよさを味合わせてあげるから、ね? まずは手を貸してくれるかい?」

 希君に手を引かれ、触れたのは固い男の人のソレだった。

 初めての感触に大きく腕を引き、「ひいっ…!」と喉の奥から声を漏らしてしまう。

「誰も咥えろとは言ってないし触るだけだから、怖がらないで? はるかちゃん。僕のコレを楽にすると思ってさ、お願い。君の体を貸してくれる?」

 丁寧な言葉遣いと静かな吐息だった。

 だがその反面、漂わせる今まで感じたことのない男の人からの威圧的な態度に、私はもう現状を受け入れだすことしかできない。

 彼の浴衣の中に手を入れて、大きく勃っていた男根に手を伸ばした。

「うん、そうだよ、それでいい。あんまり強く握らないでね? 力加減を上手く調節して僕を楽にしてよ」

 相変わらず口は手のひらで覆われたままだったが、彼の言う通りにしていると幾分か口元に込められた力が緩められていく。

 握らされた男の人のそれは手のひら全体にまとわりつくようで気色悪く、今にも手を離してしまいたいほどだった。

 しかし希君に無理矢理手を押さえつけられて、私はただ彼の言う通り、望むように手を動かし続けた。

「けどね、僕は手だけじゃ楽になれないんだ。口でするのと、股を開くの、どっちがいい? あ、お尻でも僕は大丈夫だよ」

 性欲に塗れた男は私の耳元で囁いた。恐怖で体が竦み、何度も何度も首を横に振るばかりだ。

「だからイヤがらないでよ。男も女も欲望に素直になればこうなるし、君もじきにセックスをしたくなるよ。そして僕に処女を捧げたくもなる」

「……ゃ、だぁ…ぃ、ぃゃぁ…」

「安心して、処女膜は優しく突き破ってあげる。それとも今日は危険日だったりするの? それなら猶更燃えるんだけど……」

 この人は一体何を言っているんだろう。

 止まない言葉の嵐に目も耳も塞ぎたくなってしまう。

「はるかちゃん、分かる? あまりにも大きな声を出すと友だちにまで聞こえちゃうから……それなりに我慢してね」

 自身の浴衣から腕を抜いた彼は口を覆っていた手さえ退かすと、力いっぱい押し倒してきた。

 私に覆いかぶさる男はイヤらしく笑っていて、恐怖で体が震えてしまう。

 男は私の浴衣をはだけさせた。

「ゃ、ぁ……やめてよ!」

「止めないよ。君の処女は僕がもらうからね」

 獣に触れられ、素直に喜ぶ女がいるはずがない。

 恐怖に怯える女を凌辱するこんな男。──最低だよ。

「あ、でも声を聞かれたくはないだろうし、僕の指を噛んでもいいよ。ほら」

 口元に運ばれた希君の指。

 恐怖で震えていると、口内を搔き乱すように無理矢理指を突っ込まれる。

 息苦しさを感じる行為に今にも叫び声をあげてしまいたいはずだったのに、ただ空気が洩れるばかりだ。

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