「…ねぇ、私とセックスしない?」―越えてはならぬ筈の一線を越える昼下がり (ページ 4)
「いいわ…すごく。…ねぇ、私がいいって言うまでイッちゃだめよ。」
ゆっくり腰を動かすとそこは蠢き陵介に絡みつく。
「ああっ…いい…いいのっ!」
「あぁ…静華さん…もうっ…」
挿入するとすぐにやってくる熱を冷ますように静華はすっと腰を離した。
陵介を抜くと淫らに開ききった花びらで陵介を擦り、蜜で濡らした。
「だめよ。まだイッちゃ。ふふ…気持ちいい?」
「はい…気持ちいいです。」
陵介は快感に陶酔しているのかうわ言のように呟いている。
ギリギリのところに追い詰めては離し、また登りつめて落とすことを何度か繰り返す。
少し触れられただけで達してしまいそうな程全身が敏感に反応している。
「この感じ…たまらない…。」
陵介はまだ一度も腰を振っていない。
毒が回って捕らえられ最期の時をただ待っているようだ。
「静華さん…っ…はぁ…。」
静華は陵介をぎゅっと抱き締めておもいっきり腰を振った。
無言の合図と悟った陵介も狂ったように腰を突き動かし静華の蜜壺を乱した。
結合部からじゅぷじゅぷといやらしい音が響く。
「静華さん…もうっ…‼」
「あっ!いく!あああっ!」
陵介の熱い迸りを感じながら静華は脳裏に百合の花が咲くのを見た気がした。
「もう会わないわ。これが最初で最後。」
静華は陵介の膝の上で煙草に火をつけた。
「どうして?」
「私、子供を作るの。あの人を黙らせるために。」
ふぅっと吐き出した煙が辺りに漂う。
「だから煙草も、…あなたも、今日で最後。…さよなら。」
静華は煙草を揉み消し、煙草の箱と銀座時代から愛用していたシルバーのライターを重ねて置いた。
キスをして去ろうとした静華の腕を陵介が掴んだ。
「待って!…じゃあ、あなたのために僕も結婚するよ。」
「…え?」
教会の入口で陵介が膝まづき、大きなお腹を抱えている私のぺたんこなヒールの靴にキスをした。
私たちの関係は神様には誓えない。
私たちは不倫関係を続けるためにお互い幸せな家庭を築くことを選んだ。
「ねぇ、あの可愛い奥さんと子供作ったときも脚舐めてあげたの?」
「まさか!静華さんだけだよ。」
ドアが開き、陵介はバージンロードを一人歩いていった。
ポケットに煙草とシルバーのライターを入れて。
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