清掃のパートへ行った時、単身赴任で引っ越してきた男性のゴミ出しの手伝いをしたら成人雑誌をバラバラに散らかしてしまい、そのことがきっかけで…。 (ページ 2)

「あ…ごめんなさい!!」

バツが悪そうな表情の並木さんと顔を赤くさせた私は、散乱した雑誌を1冊ずつ拾った。

「恥ずかしいもの見せちゃったなぁ…」

拾いながら、並木さんはボソッとつぶやく。

最後の1冊を私が拾った時、何故か、中身が無性に見たくなってページをめくった。

色っぽい表情の熟女が全裸で淫らなポーズを取っていて、AVのワンシーンであろう男女の性描写が何パターンにも分けて載っていた。

「かずみさん!!」

「あっ!ごめんなさい…ごめんなさい…」

必死に謝りながら、雑誌をビニール袋の中に入れて、資源ごみの棚へ置いた。

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「こんな雑誌見たことないでしょ?」

並木さんは、他のゴミを片付けながら私に聞いてきた。

「初めてです。見てみたくても、女性は買えないですし…」

「もっと見てみたい?」

「ええ…興味がないと言ったら嘘になるかも…」

「家来て、見てみます?他にもありますし…」

淡々とそんな会話をしている内に、仕事が終わった後、並木さんの自宅へ寄る約束をしてしまった。

ピンポーン。

インターフォンを押すと、すぐに並木さんが出てきて、家の中へ私を招き入れる。

「やっぱり…今日は帰ろうかと思って…申し訳ないですし…」

「せっかくコーヒーも淹れたし、飲んでいってくださいよ!」

ほのかにコーヒーのよい香りが漂ってきて鼻腔を刺激する。

「コーヒーにはちょっと自信があるんですよ」

嬉しそうに言う並木さんを見て、

「それじゃぁ、せっかくなので一杯だけ頂きます」

と言い、上がらせてもらうことにした。

単身赴任者らしく、こざっぱりとした部屋で、必要最低限の家具家電だけが並び、引越ししてきたのか、これから引越しするのかよくわからないような感じだった。

そのくせ、コーヒーには自信があると話してくれただけあって、立派なサイフォンやコーヒーミルがテーブルの上に置いてある。

そして、その横には数冊の成人向け雑誌が置かれてあった。

「男の一人暮らしなんて、こんな雑誌やAVでも見ないとやってられないですよ…ご主人が羨ましい。こんな可愛らしい奥さまがいるんだから」

「いえいえいえ。夫なんて私のこと全く興味も関心もないですし、家にいるとバカみたいにゴルフクラブばっかり磨いちゃって…私のこと触ってくることすらしませんよ」

私は聞かれてもいないことをペラペラと話をした。

初めて話をした時にも感じたけれど、並木さんと話をすると自分が素になれて、何でも話してしまいそうになるのを感じていた。

「かずみさんみたいに、若くて可愛らしくて素敵な奥さまがいるのにもったいない。僕だったら…」

そう言いかけると、淹れたてのコーヒーをマグカップに入れて渡してくれた。

「僕だったら?」

マグカップを両手で持ちながら聞き返すと、しばらく無言の後、

「毎日でもきっと抱きしめてしまいそうだ…」

とポツリと言った。

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