付き合って半年もたつのに、一向に私に触れてくれない彼。初めて2人で過ごす誕生日の夜に、勇気を出して彼をホテルへ誘ったのに・・。
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付き合って半年もたつのに、一向に私に触れてくれない彼。初めて2人で過ごす誕生日の夜に、勇気を出して彼をホテルへ誘ったのに・・。 (ページ 1)
黒沢さんと付き合い始めて半年・・・。私に触れるどころか、キスしてくる気配のない彼に業を煮やした私は、25歳の誕生日を迎えた今夜、思い切って黒沢さんをホテルに誘った。
シャワーを浴び、浴室から出ると、黒沢さんは緊張した面持ちでベッドの脇に腰掛けていた。私は、黒沢さんの隣に腰掛けると、そっと彼の手に自分の手を重ねた。
「私とここに来たこと、後悔している?」
「・・・いや。そんなことは。」
「・・・やっぱり、私じゃダメなのかな。」
「・・・。」
「分かった!!今夜はもういいよ。帰ろう。」
「待って!!」
私がベッドから立ち上がった瞬間、黒沢さんの腕が私の手首を掴んだ。
「そうじゃないんだよ。」
「じゃあ、なんで?」
また沈黙する黒沢さんの顔を見て、私は言った。
「もういいの。私が相手じゃ不満だって分かっているから。」
「や・・・違うんだって。明日香ちゃん、話聞いて!!」
「きゃ!!」
黒沢さんの手が、背後から私の両肩を掴むと、私達の体はベッドへと倒れこんだ。その瞬間、私のバスタオルがはだけ、胸が露わになった。
私の裸を目の前にした黒沢さんは、一瞬沈黙したかと思うと、突然私の両腕をおさえつけた。
「あっ・・・やっ・・・。」
うろたえ、動揺した私を落ち着かせるように、黒沢さんはそっと頬に触れた。
「何で俺が君に触れなかったかわかる?」
「え?・・・・」
「以前、会社の掲示板に貼られていた写真のことだよ。」
「あ・・・。」
私は一年前、当時交際していた恋人に下着姿の写真を撮られていた。恋人と別れた3カ月後、社内の掲示板に私の写真が貼られていた。早朝出勤していた黒沢さんが最初に見つけて、他の社員に見られる前に、そっと私に手渡してくれた。
「信じていた恋人に裏切られてショックだっただろう?」
「・・・それで、私に触らなかったの?私のこと、気遣ってくれていたの?」
「男に嫌な思いさせられた女性は、他の男にも恐怖感抱くって、本に書いてあったんだよ。明日香ちゃんも、あの後しばらくは落ち込んで、打ち込んでた英語の勉強も手がつかなくなってたじゃないか。」
「それは、そうだけど・・・。黒沢さんが支えてくれたから、ここまで立ち直れたんだよ。そりゃ、掲示板に貼られた写真を手渡された時は、他の社員に口外されないか不安だったよ。でも今は・・・信じているの。」
「俺に触って欲しい?」
「・・・うん。」
「ごめんな。臆病になっていたのは、俺の方だったかもしれない。明日香ちゃんに触ったら、元彼と同じになってしまうんじゃないかって・・・怖かった。」
「全然違うよ。黒沢さんは。同じだったら、誰にも見られる前に写真を返してくれたりしなかった。」
私は、黒沢さんの目を真っすぐ見つめて、そう断言した。
「・・俺が嫌な触り方したら、すぐ言ってくれよ。」
そう言って、黒沢さんは私の手を握って、首筋にキスした。少し唇が触れただけなのに、全身が熱を帯びていく。赤面している私を見て、黒沢さんはクスクスと笑った。
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