ただの同僚、そう思っていたはずなのに… (ページ 3)
先にシャワーを済ませてタオルで目を冷やしていると、バスタオルを腰に巻いて頭を拭きながら絢也が上がってきた。
色白で程よく筋肉のついた体にネックスレスがよく似合っていた。
恥ずかしくなって再びタオルで目を隠すと
「目腫れちゃったか?」
そう言って隣に座った。
「ううん。大丈夫」
座ったまま黙り込んだ絢也に不安になって恐る恐るタオルを外して横を見る。
絢也は真剣な顔をしていた。
「…俺…入社した時から梨子の事好きだったんだ」
わたしの肩をつかんで向き合うと
「今日は、何か、流れでこうなったみたいに思うかも知れないけど、俺は前から梨子の事好きだったんだからな」
香澄が言っていた。
「絢也って、さりげなぁく梨子のことフォローしてんだよね」
残業になれば遅くまで付き合ってくれた。
悩んでいれば声をかけてくれた。
重い物を運んでいれば手伝ってくれた。
落ち込んでる時は甘い物を差し入れてくれた。
泣きたい時に駆け付けてくれた…
そうだ、いつも助けてくれた。
「うん、ありがと」
さっきまでとは違う暖かい涙が流れた。
絢也はわたしをしっかりと抱き締めた。
背中に腕を回すと広くて心地いい。
絢也は腕をほどくと
「しちゃう前に確認したい。俺と付き合ってくれる?」
チャラそうな姿で真面目な事を言うのがおかしくて泣き笑いになった。
「ありがと。嬉しいよ。こちらこそお願いします。」
「やったー!」
そう言ってきつく抱き締めた。
「好きだよ、梨子」
上になった絢也がまっすぐにわたしを見る。
「わたしも」
絢也の顔が近付いてネックレスがわたしの鎖骨に冷たく流れた。
やさしく何度も角度を変えてキスする。
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