シャッター音が響く度、抑え付けていた欲望はゆっくりと滲み出す (ページ 2)
シャッター音を号砲に、カイの表情が変わった。カメラを誘う視線を投げてくる。
「ソファーの上で、自由にポージングしてみて」
カイはすぐにごろんとソファーの上で仰向けになった。
程よい厚さの胸が綺麗に見えるポーズだ。
私は息をするのを忘れてシャッターを切った。
カイは自分の手足の長さと顔の小ささをよく理解している。
何より、視線の使い方が上手い。伏せた目を縁取る睫毛の角度まで計算しているようだった。
「パンツのボタン、外してみて」
カイは細いデニムのフロントボタンを、静かに外した。
グレーのボクサーショーツが覗く。
「リコさん、その気になってくれたんですか?」
ソファーの前に真っ直ぐ立って、カイが私を見つめた。
「その気になってるのは、君の方でしょ」
私はカメラの先で、カイの体の真ん中を指した。
ボクサーショーツの前が膨らんでいる。
「だって、リコさんの撮り方、エロいから…」
「よく言われる。自覚はないけど」
「自覚ないんですか。俺、手コキされてる気分でしたよ」
意外と品の無い喋り方をするカイに、思わず笑ってしまった。
それと同時に、私の心が緩んだ。締めつけて、抑えつけていた欲望がじわりと表に滲む。
「自分でやってみせてよ」
欲情していないと言えば嘘だ。
でも、カイの全てを写真家として見てみたい気持ちもあった。
カイはソファーに腰かけると、パンツとボクサーショーツをずり下げた。
本人の体によく似た分身が姿を現す。
長い指が先走り液でぬらぬらと濡れた先端をゆるくしごく。
微かな溜息が薄い唇から密やかに落ちた。
「カメラ、見て」
私はカイとの距離を詰めた。切なげな吐息を切り撮りたい。
「そういう触り方が好きなの?」
ゆっくりと動く手も撮る。
シャッターの音に、カイがぴくりと反応した。
「いや…イきそうだから…」
「もっと、速くしごいてみて」
「…っ…ぅ、く…」
眉間に皺を寄せて、カイが手を激しく上下させた。
くちゅくちゅという音が溢れる。
「あ…イきそ…」
「だめ。手、離して」
一瞬、カイは非難めいた視線を私に向けた。それでも、手は分身から離れる。
「今の顔、すごく色っぽくていいね」
「リコさんって、ドSなんだ」
「カイがMっ気あるだけじゃない?」
「いじめたいなら、いじめていいですよ」
「どうしようかな」
気づいたら、ほのかに上気した頬にキスしていた。
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