遊郭という籠の中で過ごす最初で最後の幸せな一夜 (ページ1)


時は江戸。
私は家が貧乏で、十二のときに人買いに売られた。

行き先は、江戸の遊郭。
年齢も大きかったため、廓に入り色々と修行し直ぐに水揚げ。

今では、数多の男に毎夜抱かれている。

「ちょっと、夢っ!何ボサッとしてるんだいっ!?」

ここでは本名ではなく源名で呼ばれるそうだが、女将さんが私の本名を気に入り、そのままの名前で呼ばれている。

「ほら、色男の旦那があんたを指名したよっ!さっさとお行きっ!!」

すると、周囲にいた同じ店で働く女の子達が、羨ましそうに声を上げる。

「夢いいなぁー」

「あんな若旦那なら、毎日でもいいわぁ〜」

「夢、気が乗らないなら代わってあげるわよぉ〜」

(………はぁ)

色男だろうが若旦那だろうが、もう疲れた。

(毎晩、毎晩…知らない男に、無理矢理抱かれて……いつまで続くんだろうこんな生活)

そうぼんやり考えながら、今宵も客の男と過ごす部屋へと足を踏み入れ褥の上に座り、頭を下げて待つ。

すると、そこまで待つことなく襖が開き、男が部屋に入ってくる。

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