関西弁イケメン同期に対抗していたらエッチでわからせられちゃいました! (ページ 2)
七瀬は誰から見ても容姿端麗で人気があった。
軽くウェーブがかかった黒髪は少し目にかかっていて、その切れ長の目は鋭くてクールな印象を与える。真っ黒な瞳は深い闇のようにミステリアスだ。
見つめられると、まるで心を掴まれたような感覚にさせられる。
また、左目の涙袋にある小さなホクロが彼のセクシーさを一層引き立てていて、ふとした仕草にも色気が溢れている。
それでいて人より頭ひとつ分高い背たけなのだ。目を引かないはずがない。
一見したら話すのも躊躇われるようなその容姿だが、話してみるとノリの良い関西弁で彼と話すのを目的にくる取引先もいるくらいの人気ぶりだ。
「じゃあ、また」
桜は短くそう言うと足早に七瀬のもとを去った。
桜は七瀬のことが嫌いだ。
いつも、桜の営業成績は2位で彼を超えられない。だから悔しくてたまらないという理由が一つ。
それからもう一つはあの関西弁…
桜が小さい頃、親戚に会いに京都に行った時のこと
橋から見える鴨川や京都の風景が綺麗でぼうっと眺めていたときだ。
親戚のおばさんが桜にぶつかってきた。
「あら、お人形さんみたいな子やね」
そう言われ、桜はよく遊んでいた、顔の綺麗なフランス人形を思い浮かべ、嬉しくなり頰を染めた。
「お人形さんみたいに動かんとぼーっとしてるから、おるのか、おらんのかよう分からんかって、ぶつかってしもたわ。ごめんね」
おばさんはそう言ってひどく蔑む目で桜を見て笑った。
桜はその言葉が今も心の奥底に突き刺さり抜けなくなっていた。
というのも家族の扱いがまさにおばさんの言う「おるのか、おらんのかよう分からん子」と言う扱いだったからだ。
桜の両親は桜の兄を可愛がっており、桜は家ではいない子として扱われて育った。
だから、桜はいい子になり続けた。学年で成績1位、いい大学に入り、大手企業に就職した。
両親に家族だと認めてもらえるように…だが、それが叶うことはなかった。
七瀬には悪いけど私はあなたの関西弁が嫌い。嫌なこと思い出しちゃうから…
桜はなにかと食事に誘ってくる七瀬をそんな理由で邪険に扱っていた。
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