満員電車の中、「特訓ね」と触れてきた年下男子の巧みな愛撫に逆らえない私。 (ページ 2)
「絶対、足の骨折れてるってあれ」
相変わらず混んだままの電車の中で、男の子がこらえきれないといったように笑う。
私は今更恥ずかしさがこみ上げてきて、顔を赤くして俯いた。
痴漢は「とにかく謝ったから!」と言い、次の駅で逃げるように降りて行ってしまった。その足取りはフラフラで、男の子の言う通りに、折れているかもしれなかった。
「あの、助けてくれてありがとう」
「どういたしまして」
「本当は、捕まえて駅員さんに突き出した方がよかったよね…」
ぼそりと呟くと、男の子はびっくりしたように私の方を見て、それからニヤリと笑った。
その顔になぜかドキッとしてしまう。
男の子は私の手首を掴み、人込みを強引にかき分けて私を扉の近くまで誘導してくれる。さっきのことがあったせいか、周りの人もちょっと迷惑そうな顔をしつつも、場所を譲ってくれた。
この路線は朝はほぼ、反対側の扉しか開かない。
開かずの扉を背に、私は男の子と向かう形になった。
「俺、大樹。大学3年生。お姉さんの名前は?」
「綾音」
「綾音さんかぁ…」
大樹くんがニコニコしながら、私を間近に見下ろしてくる。
「じゃあさ、もしまた痴漢に遭ったら、今度はちゃんと捕まえられるよう、特訓しよっか」
「え?」
私は改めてまじまじと大樹くんの顔を見た。
たぶん身長は180㎝くらい。軽く茶色にした髪は無造作にウェーブがかかっている。銀色のフチの、ラウンド型のメガネがよく似合う今時のおしゃれ男子、という感じだった。
急に恥ずかしくなって、私は顔を赤くして目を逸らす。
中学、高校、大学と女子校だった私は、若干年下といえど、同世代の男の子と接するのに慣れていなかった。
いわゆる男女交際の経験は一度もない。もちろん処女だ。
「特訓って…?」
疑問に思って首を傾げる。大樹くんはにっこり笑う。明るくて朗らかな、かわいらしい笑顔だった。
ぴと、とまたお尻に何かが張り付いた。
「え…?」
「ほら、言いなよ。ちゃんと、駄目って」
その正体は、大樹くんの大きな手のひらだった。私のお尻の形をなぞるように撫でてくる。どこかおどおどしていた痴漢の手つきとは違って、迷いのない手つきだった。
「ちょ、やめて…」
「駄目駄目。そんなか弱い声じゃ、痴漢は調子に乗っちゃうだけだよ」
大樹くんの手が、私のお尻を強めに揉む。アソコがジン…として、思わず声が出た。
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