せっかくの旅館泊まりなのに手を出してくれない、年上彼氏を精一杯『お誘い』する話 (ページ 4)
最後まで、という言葉に思わずキュンとする。
今更ながら、やっとアオイさんに「女性」として見てもらえたようで、心がむず痒く嬉しかった。
「ミドリ、ほんと可愛い…すきだよ」
そう言ってアオイさんは私に口付けをひとつ落とすと、緩急をつけながらじわじわと腰を動かし始めた。
…体は気持ちいいはずなのに。その手馴れたなめらかな腰使いは、私と年の離れた分だけ多くの女性経験を彷彿とさせるようで、密かに胸がチクリとする。
「…私、もっと早くアオイさんと出会いたかったな」
気が付けば、そんなことを口走っていて。
慌てて「違うんです」と訂正しようとすると、アオイさんは少し驚いたような顔をしたあとに、そっと頭を撫でてくれる。
「過去は消えないけど──今一番大切なのはミドリだし、これから先もずっと一緒にいたいのはミドリだよ」
私の心を見透かしたように。
嫉妬さえも優しく包み込んでくれるのか、この人は。
「…んっ…アオイさん、なんか…大きくなった…?」
安堵と愛おしさの余韻に浸る間もなく、アオイさんの欲が私の中で膨らみ続けているのを感じた。もう互いの気持ちを隔てるものはない。アオイさんの動きに、遠慮が消える。
「やっ、あ…アオイさん、アオイさんっ…!」
「ミドリ、受け止めて──」
グッと私の腰に添えられたアオイさんの手に力が入ったと同時に、アオイさんは目を瞑って快感に震えていた。声を堪えるためか口端をギュッと結んでいて、普段見ることの出来ない表情にどきどきする。
目が合うと、アオイさんはいつものように、けれど少し気恥しそうに、ふにゃりと笑う。この日々が少しでも長く続きますようにと、微睡みの中で私はそっと祈った。
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