憧れていたクールな王子様キャラの彼は、嫉妬深くてセックスで私を縛る男だった (ページ 3)
「葵ちゃん、重い恋愛の方がいいんだ」
「当たり前だよ、彼氏の好きが私の好きより勝っててほしい」
慶一郎がにやりと笑う。
「俺と付き合ってみる?」
「えっ?」
慶一郎と視線が絡み合った。
「どう?」
「なんで…?」
慶一郎が何か言おうとしたとき、兄が部屋に戻ってきた。慶一郎は全く動じることなく、楽しく過ごしていたが、そこから葵は全く酔うことが出来なかった。
ビールの缶を持つ慶一郎の指も、舌で唇をペロッと舐める仕草も、ふわっと漂ういい香りも、葵の興奮を高めるばかりだ。
そのまま時間だけが過ぎ、時計が午前零時を回った。
「じゃあ、俺そろそろ帰るわ」
「そっか、チャリだろ?気をつけてな」
「私、コンビニ行く。なんかいる?」
「いらない」
少し眠そうな兄は玄関まで慶一郎を見送った。葵は一緒に外に出る。コンビニはすぐ近くだが、慶一郎と二人で話したかった。
「葵ちゃん、明日、会える?」
「…う、うん」
「じゃあ俺と付き合ってくれる?」
「…うん、まぁ」
「俺のことどう思ってる?」
「慶一郎くんは昔から王子様だったから」
「なんで?」
「イケメンだし、なんか周りの人とちょっと違ったし」
「ふふっ、おもしろいね」
コンビニに着いた。
「一緒に入る」
慶一郎が自転車を止めた。
「いいよ、もう帰って」
「なんでそんなこと言うの?」
少し驚いた。葵は今までにこんなタイプの男性と付き合ったことがない。だから、素直に嬉しかった。
欲しくもないチョコとジュースを買って外に出る。
静まり返った夜。深夜のコンビニで慶一郎の自転車を挟んで会話をする。学生に戻った気分だった。
慶一郎は大胆に迫る。
「今すぐ俺のものだと証明したいんだ」
そう言って葵の顎をくいっと持ち上げ、キスをした。
「変わらないな、この感じ」
顔を離した慶一郎が言う。
「葵ちゃんさ、中学のときから俺をそんな目で見てたでしょ。子犬みたいな感じで」
「そんなことないけど…」
「今もその目で俺を見てるよ。だからドキッとする」
慶一郎があまりにもさらっと言うので、葵には舞い上がる時間もなかった。
「今日はここまで。また続きは明日」
「はい…」
葵の胸の鼓動が一気に速くなった。
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