資産家の御曹司で鉄面皮の夫には、私しか知らない秘密があって…

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資産家の御曹司で鉄面皮の夫には、私しか知らない秘密があって… (ページ 1)

「あの嫁、どんなに嫌味を言ってもどこ吹く風なのよ」

 本社ビルの最上階にある会長室で、姑はそう言いながら若い専属秘書に腰を突き出し、着物の裾を背中まで捲りあげた姿で突かれていた。

「あんもう、ちょっと、気を入れてやりなさいよぉん…んんっ」

「はいはい。ちょっと締まりが悪いんじゃない」

 秘書はスーツ姿のまま、スラックスだけをだらしなく下げて腰を使っている。ズンズンと突くタイミングに合わせながら、デスクに手を突く姑の頭がガクンガクンと揺れる。

「ああ…そこよ、たまらないわ…死んだ夫は淡白だったし、瑞樹を産んだら目もくれなかったし」

「その分、若い男咥えすぎてガバガバでしょ、会長」

 男は姑から棍棒のような逸物を抜き、ふらふらと喘ぐ姑を仰向けにしてデスクの上に横たえた。姑は待ちかねたように両脚を大きく広げて天井に向け、浅ましく男が侵入してくる瞬間を待っていた。

「私を満足させたら、株を持たせてあげる」

「それ、取締役にも推挙してくれるってことかな」

「さぁね…ああんっ…もう、あんたって子は…あ、ああっ、ほらっ、突きなさいよっ、突いて、奥、奥よぉぉん、ああんっ」

 男は本来の端正な顔立ちを欲望に歪め、姑の股の中へと突入した。そして義務でもあるかのような冷めた目で、喘ぎ狂う50女の痴態を見下ろしている…。

*****

 そこで、私は動画を止めた。

 ドアの向こうでは、腹の底にビートの振動が伝わるほどの大音量で音楽が流れている。都合がいい。

 都下にある会員制のクラブ。歪んだ性癖を持て余した金持ち連中が乱痴気騒ぎをする場所。その個室である。

 ソファには、清楚な紺色のワンピースに身を包む女性が、長い黒髪を震わせている。いや、女ではない、私の夫だ。美しく、儚げな、私の夫。そして、動画で痴態を演じていた姑の義理の息子。

「どうするの、瑞樹」

 夫・瑞樹は、私の手で化粧を施された顔を上げた。なんて美しいのだろう。元々顔立ちは整っており、女性のように滑らかで凹凸のない作りをしているが、こうして化粧を施すと、スッと筆で掃いたような涼しげな目元に艶が加わり、ゾクリとする程の色気を見せる。

 一方の私は、宝塚の男役のようなスーツ姿で足を開き、夫の頰を指で撫でていた。つるりとして、キメの細かい肌。大学演劇でメイクも勉強した私が仕上げた、清楚な美女。

「真琴、あの母と、もう決別したい」

 甘やかなテノールのまま、夫・瑞樹は物憂げに吐き出した。

「そうだな」

 私は女声のまま答える。おかしな夫婦。そう、私達は密やかな趣味を共有する夫婦。

 姑の前では冷たい夫と虐げられる妻を演じ、真の姿となった今は、儚げな夫とそれを守る男らしい妻、なのだ。

「株式の保有率が問題だ。兼清グループの沢兼さんや、叔父上達に根回しして株を一時的に譲り受ければ、あの義母を上回る」

「できるかな」

「やるんだ。今の君は、あんな女など恐るるに足らんよ。有能で、可愛くて…ほら、こんなにいやらしくて」

 

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