お盆休み、久しぶりに帰省してきた大好きな義父に抱かれて切なくて幸せでした
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お盆休み、久しぶりに帰省してきた大好きな義父に抱かれて切なくて幸せでした (ページ 1)
夏の夜。
畳の上で一人ポツンと縁側に足を投げていると、
「ただいま帰りました」
床に染み入るような、艶のある声が響いた。
はやる胸を抑えて廊下を駆けていくと、柳のように線の細すぎる身体が、引き戸からゆらりと姿を現す。
「おかえりなさい…安史さん」
青白い痩けた顔がこちらを向く。
靴を揃えて敷居を跨ぐと、左右を見渡すそぶりをしているので、
「母はしばらく出てるそうです」
尋ねられるより先に返事をした。
「全く、あの人には敵わないですね」
苦笑しながら居間に向かう背中を見ていると、どこか消えてしまいそうな気配がする。
「いえ、母が悪いんです…ぜんぶ」
母は三度も結婚歴がある、所謂恋多き女だった。
一度目は東京で、夢を追う若いバンドマンの男、私の実父と。しかし彼は父親としての重責に耐えられなかったらしい。
すぐに離婚し、二度目は町工場で働いていた安史さんと結婚した。そして今度は母の気が変わり、また離婚。
三度目はここ、地元の町医者が相手。正直これで最後にして欲しいものだ。
「僕に魅力が足りなかったんでしょうねえ」
安史さんは腕を組みながら力なく呟く。
「そんなことは断じてないです」
「はは、洋子さんは優しいです。こうしてまた僕を呼んでくれますしね」
古びた丸テーブルにお茶菓子を用意しながら、顔が熱くなる。
いい歳をして駄々をこね、毎年お盆休みになると安史さんと会う許可をもらっているのは、ちょっとファザコンぽいかもしれない。
いや、ファザコンではない。私は初めて見た時から、本気でこの人のことが好きだったのだから。
「そういうんじゃ、ないです。ほんとに、安史さんは、魅力的です…」
何度も同い年の男と付き合ったが、諦められずに別れてしまった。
「魅力的…ですか。どんなところがそう思いますか?」
頬杖をつきながらまるで謎かけするみたいに言われて、少し気後れする。
「全部、ですけど…、一番は優しいところです…、あんな母と二年も向き合ってくれて…」
初めて家に来た時から、安史さんには抵抗感を全く感じなかった。
無理強いするようなコミュニケーションはとらず、ただ側にいて見守ってくれた。
静かに優しく、父を失くした幼心を包み込んでくれたのだ。
「でも奥さんに愛想つかされたのは事実ですから…」
「…母はおかしいんです」
膝の上で拳を握り締める。
「本当は私が奥さんになりたかったくらいで…」
殆ど告白めいたことを言ってしまったと気づくと同時に、口に手をあてる。
俯きながら何か誤魔化す方法はないかと思考を巡らせていると、突然抱きしめられた。
「安史さ…っ」
「おかしいのは僕の方なんですよ」
違う、これは娘としての抱擁なんだ、そう自分に言い聞かせようとするが、
「んっ」
食らいつくようにキスをされ、心臓が止まりそうになった。
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