いつも温厚な彼がサディスティックに?彼と一緒に深夜の発声練習

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いつも温厚な彼がサディスティックに?彼と一緒に深夜の発声練習 (ページ 1)

私は、情事中に喘ぐのが苦手というのを悩んでいた。
恋人で、八歳年上の依実さんはいつも笑って許してくれるけど、気を遣われているのは明らか。
どうにかして、彼に喜んでほしいんだけど…。

「雪希。もしかして俺とするの、好きじゃない?」
「え…?」

彼と同棲している部屋で夕食中、依実さんが突然に訊ねてきた。
私は大きく首を横に振って、「そんなことはない」と拒否する。

「そっか、それならいいんだけど。まぁ、無理させるのはよくないし」
「…気を遣わせて、すみません」
「そんな大袈裟なことじゃないよ」

依実さんはおおらかに笑う。この笑顔が好きで、好きでたまらなくて。

「それに雪希がコミュニケーション苦手なのもわかってるし」

私は幼少期から、コミュニケーションが下手も下手で。
無口で恥ずかしがり屋な私は、そのせいで誤解されることも多かった。

会話は今でもずっと苦手のままだけど、その代わりに身振り手振りが激しいので、それで伝えたいことを理解してくれる人も少なからずいる。

そんな私を可愛らしくて好きと言ってくれたのが、職場の先輩だった依実さん。
彼は部署のエースとも呼ばれるくらいに仕事がとてもできる人で、出世ももう目前だろうとまで言われている。

そんな彼は部署の女の子からも評判が良く、話しかけられていることもしばしば。
でも二人きりの食事などに誘われると、決まって言ってくれるのが、

「ごめんね。俺、大切な彼女(ひと)がいるから」

その言葉を聞く度に、私の心はきゅっと締めつけられる。
ちゃんと正直に断ってくれてるのが、何より嬉しい。

女の子たちも「じゃあ、仕方ないですねー」と折れてくれるし。
ほんの少しの優越感、というと申し訳ないのだけど、そんな気持ちにもなる。
だからこそ、彼には満足してもらいたいのだけど…。

「…でもね、雪希」
依実さんの言葉に、私は耳を傾ける。

「俺、お前の喘ぎ声が聞きたいな」
「え…っと」

私は依実さんの突然の発言にあからさまに戸惑う。
その様子を見た彼は、ゆっくりと目を細める。

「いつも必死に我慢してるから」
「あ、え、そうなんです…?」
「そう。いつも声は出さないようにしてる」

無意識だった。私はあんまり情事のことを覚えていなくて、終わってしまうといつも意識を失ってしまうから。

だから依実さんから見えている私はそんな感じなのかと、少し衝撃だった。
「依実さんは、私が声を出していた方がお好みですか…?」
おそるおそる、そう聞いてみる。

すると依実さんはそうだね、と答えた。

「その方が気持ちは高揚するよ」

嬉しそうに、そう答える依実さん。
今までどうあるべきなのかとか、深く考えたことがなかった。

ただ一緒にいられればいいんだって、そう思い込んでいたけど…。
そう、じゃないんだ…。

「あの、が、がんばるので…見捨てないでください」
「急にどうしたの?」

突拍子な私の発言に、驚きながらも笑う彼。

「あの、なので、今夜から…お願いします」

私は恭しく頭を下げる。
依実さんは困っていたけど、最後には笑ってこちらこそ、と言ってくれた。

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