「俺にイジメてほしいの?」そう言って彼は…… (ページ1)

人は皆、誰だって人に言えない隠し事の1つや2つはあるだろう。

私だってそうだ。


「あっ…んっ、んっ…」

「はっ…千紗、イくっ…」

その日、私はいつものように彼氏の涼と体を重ねていた。

「…千紗、気持ちよかった?」

「うん、気持ちよかったよ」

嘘ではない。
涼はいつも私のことを気遣いながら、優しく触れてくれる。

そんな彼が好きだし、大事にされていると感じたし、気持ちいいと思う気持ちにも嘘はなかった。

だけど、私には彼には言えない秘密があった。
彼との行為に満足しているはずなのに、どこか物足りなさを感じてしまう。

…私が本当は、Mだという事に原因があることは分かっていた。
でも私はそのことを涼に告げられずにいた。

もし伝えて、引かれてしまったら…?

まず、自分の性癖を伝えることが恥ずかしくてできない。

そんな思いが足枷になっていた。

彼にもう少し、強引に触れてほしい。
普段の優しい涼も嫌ではないけれど、もっとその声で、指で、体で、責められてみたい。

そんな思いが、私の中にあった。


そんな、ある日の事だった。

………ピンポーン

私は涼の家に来ていた。

今日会う約束をしていたけれど、家のインターホンを押しても出てくる気配はない。

「寝てるのかな…?」

それならば、とカバンから合鍵を取り出し、扉を開けて中に入った。

「涼ー?」

名前を呼びながら、彼がいるであろう寝室を除くと、規則正しい寝息を立てて眠っている涼を見つけた。

(やっぱり寝てた…。昨日も夜遅くまで仕事だって言ってたもんな…)

気持ち良さそうに寝ている彼を起こさずに、ベッドを背もたれにして座り込む。

起きるまで大人しく待っていようと思い、なんとなく部屋を見渡した時、テーブルに置かれたある一冊の雑誌が目に入った。

(暇だし、これでも読もうかな)

そう思い、雑誌を手に取り読み進めていく。

すると、ふとあるページに目が止まった。

『彼女が求めるセックスのシチュエーションとは?』

そんな見出しで始まる特集だった。

少しドキドキしながら読み進めて行くと、

『いじめられてゾクゾク・ソフトSMセックス』

そんなタイトルが書いてあり、それを見た瞬間、ドキッと鼓動が高鳴るとともに、そのページから目が離せなくなった。

『目隠しをしたり、軽く手を縛ったり…たまには彼女をイジメて、感じさせてあげましょう』

なんて事が書いてあった。
その文章のそばには女性が手首を縛られている写真が添えてあり、私を興奮させるのに充分なものだった。

(いいなぁ…。私も涼に…)

「…へぇ。千紗って俺にイジメてほしいの?」

「うん……えっ!?」

ふいに後ろから声がして振り向くと、ようやく起きたらしい涼の顔があった。

(起きたのか…。て、いま、うんて言っちゃった!?)

自分の発した言葉に気づき、私の頬はみるみるうちに赤く染まっていった。

「い、今のなし!何でもないから!」

恥ずかしくて必死に否定しようとしたら、涼に手首を掴まれ、ベッドに引きずり込まれた。

「わっ!涼っ?」

「…ねぇ。本当?俺にイジメてほしいって。さっきの雑誌に書いてあったみたいなことしたいの?」

私をベッドに組み敷き、見下ろすその瞳から逃れるように顔を背けた。

「そ、そんなわけないでしょっ。ちょっと、どいてよっ。」

「ふーん。俺に嘘つくの?…じゃあ、体に聞くしかないね。」

恥ずかしくて素直になれなかった私を涼は逃がしてはくれなかった。
抵抗しようと涼の胸を叩いた手は、あっけなく彼の手に捕まり、頭の上に縫い止められた。

「片手使えないと不便だな…」

そう言って涼は、近くにあったネクタイで私の手首を縛り上げた。

「やっ、涼?なにして…」

「…俺さ、今までお前のこと大事にしたくて、嫌われたくなくて優しくしてたけど…ホントはもっと、千紗のことイジメたかったんだよね」

「なっ…!」

涼からそんな言葉を聞くなんて、思いもしなかった。
私と同じように涼も悩んでいたなんて。

彼の言葉にみるみる体が熱を上げていく。

「でも…千紗がMなら、もう、我慢しなくていいよな?」

そう言いながら涼は私の服へと手を滑り込ませ、ブラジャーを上にずらした。
彼の手が私の胸を包み込む。

「ぁっ…やっ、涼っ。私、Mなんかじゃない…っ」

なかなか涼に素直な言葉を向けれなくても、私の体はこれから起こることを期待して熱くなっていった。

「…じゃあこの期待して勃ってるこれは何?」

そう言って私の胸の突起を指でピンと弾いた。

「ひぁんっ…あっ、あっ、んんっ」

摘んだり、時々優しく指の腹で撫でたりと弄ばれている。

容赦ない胸への刺激に、体がびくびくと反応する。

「いい反応。手も縛ったし、あとは…目隠しもされたいんだっけ?」

にやりと笑いながら、どこから持ってきたのか、アイマスクをわたしにつけさせた。

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