憧れていたクールな王子様キャラの彼は、嫉妬深くてセックスで私を縛る男だった
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憧れていたクールな王子様キャラの彼は、嫉妬深くてセックスで私を縛る男だった (ページ 1)
葵は、こんなにも自分がセックスにハマるとは思ってもいなかった。
ソファーでテレビを見ていても、洗面所で歯を磨いても、料理をしていても、慶一郎は後ろから葵を抱き締め、あっという間にパンティーを奪いトロトロにしてしまう。
葵が浮気をしないか、過剰に不安がる慶一郎。
「浮気なんてしないから」
そう言っても慶一郎はなかなか信じてはくれない。だから、愛し合うことで葵の体に自分を刻み込む。
抱かれるたびに葵の感度は上がり、慶一郎を激しく求めてしまうのだから、二人はもう離れられないような気さえもする。
付き合い始めたころは葵の方がヤキモチを焼いていたのに、いつのまにか葵の全てを慶一郎が把握したがるようになった。
「俺のこと好き?」
そんな台詞はドラマの世界だけだと思っていたけれど、慶一郎はしょっちゅう聞いてくる。
人は見かけによらないというが、慶一郎はまさにそうだと思う。
クールで大人の男性は、実はとんでもなく心配性で嫉妬深かったのだ。
*****
葵には三つ年上の兄がいる。仲が良く何でも相談していたし、兄の友人も葵を学生時代から可愛がってくれていた。
「お兄ちゃん、知り合いに車のオイル交換を安くしてもらないかな?」
「慶一郎に聞いてみるよ、あいつ、今、車屋だし」
「そうなの?」
葵は久しぶりに聞く兄の友達の名前にドキッとした。
学生時代、兄の部屋には毎日友達が遊びに来ていて、その中でダントツにかっこよかったのが慶一郎だ。
当時、慶一郎はいつも彼女と一緒で、お似合いの美男美女のカップルに葵は嫉妬よりも憧れの目で見ていた。
いつも慶一郎が彼女をさらっとエスコートしていたことを葵は覚えている。いつも二人の体がどこか触れ合っていて、大人の関係を匂わせていた。
何よりガサツな兄とは違い、華奢で色白でビジュアル系バンドのボーカルをしてそうな雰囲気から、葵は勝手に王子様と呼んでいた。
その慶一郎が車屋に勤めているのは意外だった。
兄いわく、車が好きなのは昔からで、もともと真面目で暇さえあれば車をいじっているらしい。
「あのかっこいい慶一郎先輩が?まだ独身?」
「ああ。最近彼女と別れてから女はいないはずだけど。あいつ、一途だし別れたらしばらく荒れるからな」
一途という言葉が葵に引っかかった。女に不自由しなさそうなのに彼女を大切にするなんて、慶一郎の好感度が勝手に上がる。王子様のイメージはそのままなのかもしれない。
葵はただのファン心理もあって、兄に絶対にお願いしてほしいと念押しした。
兄はすぐに慶一郎と連絡を取り、葵も慶一郎に友人の妹として丁寧にメッセージを送った。
慶一郎からはすぐに返事が届いたが、絵文字もスタンプもないあっさりしたメッセージだった。
「やっぱりクールな王子様って感じ」
葵はそんな風に思っていた。だから、汚れた制服で車を整備する慶一郎がとても新鮮だったのかもしれない。
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