パート先で出会った四十代の元ラガーマンに、熟女の行き場のない性欲をぶつける私。 (ページ 2)

　

「これから会社に戻るんですか？」

「いえ、今日は直帰できるのでジムに行ってきます」

「へー、鍛えてるんですね」

「まぁ、少しですけど。美佐子さんは何かスポーツは？」

「全くです。私もジムに行こうかと思ってるんですが、なかなかね」

「始めるならぜひ言ってくださいよ！紹介だと入会金免除とか特典があるはずですから」

「そうなんですか。じゃあ、ぜひ」

　帰る準備をしながら、何気なく秀樹がシャツをまくり上げた。太い腕には血管が浮き出ている。元ラガーマンのそれは、美佐子をぞくっとさせた。

　そして、突然性欲のスイッチが入ったのもわかった。

「すいませんでした。楽しくてまた話過ぎてしまいました」

「こちらこそ、またジムのことで色々とお聞きするかもしれません」

「気軽に聞いてくださいね」

「はい」

「じゃあ新人のことよろしくお願いします」

「はい、わかりました」

　秀樹は軽く会釈をし、出て行った。美佐子は秀樹のぷりんと引き締まったヒップラインを見逃さない。
　
　これからしばらくはオナニーのおかずに秀樹が登場するだろう。

　がっちりした筋肉質の体にお姫様抱っこをされ、ベッドに運ばれ野性的な体位で絶叫のセックスを楽しむ。そんな妄想で簡単にイケそうだ。

　本当はすぐにでもクリトリスを指でいじりたかったが、帰宅時間はとっくに過ぎている。慌てて美佐子も準備をし、家に帰った。

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　昨夜、しっかり秀樹との情事を妄想しオナニーを楽しんだ美佐子は、なぜかまだ悶々としていた。

　生身の秀樹が体感したくてたまらないのだ。どうやって一線を越えるか。そんなことを考えているだけで体が火照ってしまう。

　美佐子が作れる口実は、ジムの入会だけ。悩んでいても仕方がない。美佐子は秀樹の電話番号は以前から知っていたので、思い切ってかけてみることにした。

「あの、秀樹さん今日はジムですか？」

「はい、行きますよ」

「私、見学に行ってもいいでしょうか？」

「ほんとですか！待ってますよ」

　秀樹は突然の美佐子の提案を断らなかった。昨日話したばかり、ということも功を奏した。旦那には友人たちと飲みに行くとだけメッセージを送ったが既読にもならない。

　息子は美佐子が家にいない方が色々と都合がよい。

　今日の美佐子の目的は、秀樹の体を目に焼き付けること。そして少しだけ誘ってみて反応を見ることだ。

　ジムの駐車場で秀樹が待っていた。

「美佐子さん、誰かと思いましたよ。いつも真っ白の制服だから」

「確かに」

　初めて見せる私服は、白のTシャツと深緑色のタイトスカートだ。髪も束ねなおし、リップグロスまで塗ってきた。
　
「終わったら飲みにでも行きませんか？すぐに帰っちゃいます？」

「行きましょう」

　ジムの中に入るとむっとするほどの熱気が伝わってきた。筋肉を自慢し合う男性たちの真剣な表情。

　美佐子はマッチョに興味はないが、自分にストイックな姿勢は素直に凄いと思う。そんな中、秀樹は黒のタンクトップと真っ赤の短パン姿でうろうろとしていた。

　やはり、普段の秀樹とまるで違う。若い男性が多いけれど、その中にいても違和感がないほど筋肉は引き締まり、何より後ろ姿が綺麗で抱きつきたくなる背中だ。

　秀樹がいつものルーティーンで鍛える中、美佐子は声が大きく愛想のよい、ムキムキの若いインストラクターの説明をじっと聞いていた。

「少し挑戦しましょうか？」

「できますか？」

「大丈夫ですよ、サポートしますから」
　
　ストレッチからのスタート。鏡張りのジムは慣れるまでは落ち着きそうにない。美佐子は何度も秀樹の視線を感じていた。

　そして美佐子も秀樹を目で追い、視線を重ねた。

　それは何かが起こる大人のサインでもあった。一時間ほど気持ちよく汗をかき、二人でジムを後にする。

　食事は秀樹がよく行くという居酒屋にした。

　運動のあとだからか、Tシャツとジーンズ姿は若々しく、秀樹の明るさを引き立てているなと、美佐子は思った。

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「乾杯！」

　改めて自己紹介をし、ジムの話、仕事の話で盛り上がる。旦那以外の男性とこうして二人で食事をするのも数年ぶりの美佐子は、お酒のペース配分も忘れていたようだ。

　まさにほろ酔い気分で、秀樹にぺらぺらと話過ぎている。

　きっと秀樹の聞き上手のせいだろう。美佐子はセックスレスのことまでも秀樹に話していた。

　そして秀樹もまた、美佐子に、人材派遣業の大変さ、同じくセックスレスであることを話していた。

　まるで付き合い立てのカップルのように、見つめ合い、頷き、微笑み合う。

　食事が終わるころには、二人ともが半分ため口で話すようになり距離がうんと近付いていた。

　「このまま帰りたくない」

　二人の気持ちは同じだった。

「まだ帰らなくて大丈夫？」

「うん」

「じゃあ、別のところに移動する？」

「うん」

　タクシーを呼び、向かった先はラブホテルだった。車の中で、秀樹は自然と美佐子の手を握っていた。

　分厚い手は温かく、そして秀樹の緊張も伝わる。ムラムラはしているけれど、果たしてセックスが出来るのだろうか。

　美佐子が望んでいた展開だが、期待よりも現実的な不安に襲われ、なぜか無口になっていた。