何をしてもダメなメイドは、主人を悦ばせることだけは一流で…

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何をしてもダメなメイドは、主人を悦ばせることだけは一流で… (ページ 1)

ガッシャーン!!

「ああっ、ごめんなさい!」

「…全く…、らんかさん!いつになったらこの仕事が満足にできるようになるのかしら?」

「ごめんなさい、ごめんなさいい~!!」

とあるお屋敷の給仕室。見習いメイドのらんかは、メイド長に今日もこっぴどく叱られていた。

「本当に…、あなたなんか、明日にでもどこかへ放り投げることができるんですからね!?」

「うう…もっと、がんばりますからぁ…」

「…もういいです。あなたは庭の掃き掃除でもしていらっしゃい」

「…わかりましたぁ」

このお屋敷に1年前に入ったらんかは、いつまでたってもメイドとしての仕事ができず、メイド長だけでなく、他のメイドたちからも疎まれていた。

しかし、なぜ1年もメイドの仕事ができないのに、ここに居続けられるのか。

周囲のメイドたちは、不思議でならなかった。

「はぁ…またメイド長に怒られたぁ…もぉやだ」

「おうらんか。またそんな顔してるのか?」

「!」

らんかが庭掃除をしていると、背の高い男がやってきた。

そう、この男がこの家の主、将臣だ。

「将臣様ぁ!おかえりなさいませ!」

「またメイド長に怒られたのか?まったく、懲りない女だな」

「うう…」

将臣は、らんかの頭をポンポンと撫でると、高らかに笑っていた。

将臣は財界のプリンスで、メイドからはもちろん、ほかの会社の男女からも信頼が厚い。

しかもこの身長、このルックスの前では、向かうところ敵なしと言ったところだろう。

しかし、この男こそが、出来損ないのらんかをこの屋敷にとどまらせておく、唯一の理由だった。

将臣は、撫でた頭を強引に自分のほうへ引き寄せる。

「らんか」

「はい?」

「…今夜、俺の部屋へ来い。服装は…わかってるな?」

「…は、はい…♡」

らんかは、将臣のことが大好きだった。

それは、周りの人が言う「好き」とは、ちょっと違う。

*****

その夜。

皆が寝静まった屋敷は、驚くほどに静かだ。一部屋一部屋が防音仕様になっているので、無理もない。

その廊下を、主の部屋に向かって歩く足音が、ひとつ。

コンコン。

「…入れ」

ガチャリ。とドアを開けたのは…らんか。

この部屋を照らすのは月明かりしかないというのに、らんかの顔は火照り、赤くなっているのが分かる。

「…失礼いたします」

「ちゃんと言いつけは守ってるな?」

「…もちろんです、将臣さま…♡」

らんかはそう言われると、ミニ丈のメイド服をたくし上げ、自身が下着をつけていないことを証明した。

「…上出来じゃん。…おいで、らんか」

「はい…」

ガチャン。とドアが閉まる。らんかは震えていた。…怖いからではない。

ドアが閉まったら、これから何が起こるかわからない。

全ては、将臣次第なのだ。

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