これはたぶん、恋の、はじまり。
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これはたぶん、恋の、はじまり。 (ページ 1)
「…社長、今日の予定は以上です。」
「今日の会議の資料20部用意しといてくれよ。」
「わかりました。失礼します。」
私は社長が好きだ。
長身で俳優のような顔立ち。生粋のやり手社長は対峙すると誰もがノーと言えなくなり、それでいて憎めない独特の魅力がある人だ。
――お慕いしています…――
心の中で呟いて社長愛用の香水が香る部屋を後にし、コピー室に向かうといつも彼がやってくる。
「おはよう。社長秘書の篠崎さん。今日も可愛いね。」
二人きりなのをいいことに、挨拶ついでに私を抱き締めるこの男は企画室の山崎くん。
「…ねぇ、今日デートしない?」
耳元で囁くのは確信犯。
「セクハラで訴えますよ?」
絡められた指を剥がしコピー機に戻す。
チャラっとして見える長めの黒髪に細身の体、いつも微かにマリンノートの香りがする。山崎は懲りずに私の爪や指の間をくすぐってくる。
少し骨っぽい長い指がセクシーに見えた。
「あ、今いやらしいこと考えたでしょ?」
「何言ってるのよ。貴方じゃあるまいし。」
「本当かな?…お疲れ様、篠崎さん。」
チュッとすばやく頭にキスをして彼は去っていった。
本当は想像した。
あの指がどんな風に体を触るのか、長い指でとろとろになったアソコに触れられたら、掻き回されたら…。
きゅっと疼くのは恋じゃない。
私は社長が好きなのだから。
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