夢の中で毎夜くりかえされたもどかしい快感。物足りない夢が現実に変わる今夜、出会った二人 (ページ1)

「ん……」

今夜もひかるはうなされていた。連夜おとずれる悪夢のせいで寝不足の日々が続いている。今日も日中に眠気がひどく、頭がフラフラして倒れそうなほどだった。これなら今夜は夢も見ずに眠れるだろうと思っていたのだが。

夢は毎夜同じ場所から始まる。古代ギリシャの円形劇場のような場所で、ひかるは両手両足を鎖でつながれている。

大理石の祭壇のような場所に仰向けに寝かされてドレープが重なる柔らかな布のガウンを着せられている。鎖のせいで大の字になりガウンはめくれて白いふとももが、かがり火に照り映えて見えている。

「今宵も淫らな宴を始めよう」

声の方に顔を向けると一人の青年がゆったりと歩み寄ってきていた。真っ黒な髪は流れる水のように滑らかで、深い茶色の神秘的な瞳をしている。どこまでも優しい笑みがひかるの胸の奥に忍びこんでくる。

「シン……」

ひかるはその青年の名前を知っている。彼が名乗ったことは一度もない。だがひかるは生まれたときから知っていたかのように自然とその名を口にしていた。

シンはひかるの足に手をかけた。ひやりと冷たい指の感触にひかるの脚がぴくりと震える。

「さあ、たくさん感じて。僕を忘れないように」

シンの指がひかるの足を上へ上へと辿っていく。むず痒いような感覚にひかるは身をよじった。

「ひかるはここが好きだよね」

ここと言いながら指を這わせた場所は太ももの内側、ガウンに隠れた部分だ。ガウンの下にそっと手を忍びこませてさわさわと撫でる。

「あ……ん」

鼻にかかったような甘い声が漏れる。シンはその声にうっとりと聞き入る。

「もっと声を聞かせて」

シンの手がガウンの裾にかかり、はらりとめくる。ひかるの太ももが外気にさらされる。冷えた空気を素肌に感じて、ひかるはシンに見られていることを意識した。恥ずかしくて身をよじったが、鎖は強固で逃れることなどできない。

「逃げようとしないで。肌に傷がついてしまうよ」

ひかるの足首の鉄の輪に触れながらシンが悲しそうに言う。

「そんなこと言うなら、鎖をほどいて」

この言葉をひかるは何度口に出しただろう。答えはいつも同じだ。

「君を逃がしはしないよ」

「逃げないわ」

シンの唇がひかるの太ももに落とされる。

「あっ……!」

甘い痺れが脳天まで駆け上る。シンはガウンをはらりと払ってしまう。一糸まとわぬ全身をシンの前にさらけ出されて、ひかるは恥ずかしさに目をつぶる。

「綺麗だ、ひかる」

唇は太ももを辿り、ひかるの繁みに近づいた。

「いや……ダメ」

小さな拒絶が聞き入れられることはない。シンの唇がひかるの大切な部分にキスをする。

「はぁん!」

そこはすでに蜜が溢れて濡れていた。シンは至高の酒を飲むかのごとく蜜を吸う。舌を伸ばして一滴も漏らさぬようにと舐め続ける。

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