妹のような存在の私を本能のまま抱く兄の友人。まるで禁断の世界のようで興奮が止まらない。 (ページ 2)

 
 杏奈は大学を卒業後、地元で働き始めた。兄も渉も地元で就職していたが、渉は出張が多く大学時代の杏奈をほとんど知らない。

 そんな渉が、夏休みで久しぶりに週末に帰ってくると兄から聞いた。

「お前、渉を駅まで迎えに行ってくれよ」

「なんで私が!忙しいのに」

「嘘つけよ。頼んだからな」

 渉と久しぶりの再会に兄が夕方まで仕事。代わりに車を運転しながら、杏奈は渉の最近の様子を想像していた。

 最後に会ったのは大学一年の冬。杏奈は彼ができそうだと相談していたが、渉は兄以上に反対していたことを思い出す。

 結局、その彼と付き合い処女を捧げたが、浮気癖がひどく杏奈から別れを告げた。別れてからも何度か会って肌を重ねていたのだが、セックスが気持ちいいというよりは、抱き合ったときのフィット感が好きだった。

 兄が気付いているのかはわからないが、処女じゃなくなった女の空気を、なんとなく渉は気付きそうな気がする。

 その後、杏奈には長く付き合う男性はいなかったが、二人と関係を持って今に至る。

 渉も社会人生活に慣れて、そろそろ結婚を考える相手でもいるかもしれない。兄よりも真面目な渉の性格からして、きっと浮気とは無縁なんだろうなと思う。

 そんな風に勝手に渉のことを想像していると、タクシー乗り場から少し離れたところで携帯をいじっている渉が見えた。

 「渉くん!」

 杏奈は思わず目を疑った。

 黒いTシャツの上からでもわかるがっちりした上半身、長身で小顔だからスタイルがとてもよく見える。黒髪で短髪が爽やかな大人の男性。田舎の駅ではひときわ目立っていた。

「久しぶり!元気?」

「お前こそ元気だったか?なんか雰囲気変わったな」

 杏奈のドキドキが渉にも伝わったのか、大人になった二人の再会はほんの少しぎこちない。そして、このイケメンと一緒にいることに優越感を覚える。

「コーヒーでも飲みに行く?」

「そうだな」

 渉の聞き上手なところは何一つ変わっていなかった。杏奈の意見を何一つ否定しないところも、昔のままだ。

 二人はカフェで一時間ほどお喋りを楽しみ、そのまま杏奈の家に向かった。

「お兄ちゃんは定時で帰れないかも」

「いいよ、あいつには明日会うから。おばちゃんとおっちゃんに挨拶して帰れたらいいよ」

 久しぶりの渉の訪問に、両親もかなり嬉しそうだ。カフェに行ったと言っているのに、またアイスコーヒーを作りスイカまで切っている。

 そして根掘り葉掘り、渉の近況を聞き出していた。それは杏奈には嬉しいお節介でもある。

 彼女はしばらくいない、仕事は順調だが出張が多く、休みは寝て掃除して終わる、結婚願望はないなど。兄と比較をしながら両親は渉をべた褒めし、夕方四時を回ったところで、買い物に出かけた。

「ほんと、相変わらず自由な家族でしょ」

「ああ。全く変わってないな」

 二人は杏奈の部屋で待つことにする。お茶とお菓子を持って狭い階段で二階へ上がる。

 膝丈のフレアスカートをはいている杏奈は、渉の前を歩くことをなぜか意識していた。なぜだろう。

 きゅっと下半身に力を入れ、まるで渉を挑発しているようにヒップラインを綺麗に見せたいとさえ思っていた。

「こんなにこじんまりしてたっけ?」

「私の部屋、覚えてた?」

「なんとなく」

 子供のころから変わらない六畳の和室。シンプルに片づけてはいるが、二人の大人には少し狭い。

 杏奈がテレビのリモコンを取ろうと立ち上がると、渉が杏奈を静かに抱き寄せた。本当に突然のサプライズだ。

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