隠してた寂しさを会社の後輩クンに見抜かれて幸せな初体験。初めてなのに…イッちゃいました。 (ページ 2)
もうダメだ…誤魔化せないくらい涙が溢れ、鼻もすすり続けた。
私は前から優吾が苦手だった。真っすぐな言葉、人のことをよく見ていて、さり気なくフォローするのが上手くて…。
羨ましくて仕方が無かった。彼を前にすると、自分がすごくちっぽけに思えてしまう。
「美玖さん、一人で頑張りすぎですよ。もっと周りに甘えて良いんです」
「大丈夫…本当に、なんでもないから。いょっし!ちょっと付き合ってくれない?ごはんまだだったんだ」
「あ、じゃあ鍵置いてきます。この時間までやってるいい感じの雰囲気のお店知ってるんでよかったらそこ行きましょう」
*****
優吾が連れて行ってくれたのはカジュアルなイタリアン料理が人気の隠れ家的なお店だった。
赤く腫れた目が照れくさくて優吾の顔が見られない。もじもじしているとすぐに料理が運ばれて来た。
いつの間にか泣いていたことも忘れて、美味しいごはんを食べながら仕事の話、過去の恋愛の話、他愛もない事をお互い延々と話していた。
優吾とは普段、仕事以外で話すことがほとんどなかったからか、初めて知ることがたくさんあった。
2つ上の姉がいること、中高一貫の男子校に通っていたので大学生になって女子と上手く話せなかったこと。
地元のラーメン屋さんでバイトしていたこと、元カノと別れてもうすぐ二年経つこと。
お互いの身の上話を笑いあってあっという間に時間は過ぎた。
会計を済ませてタクシーへ向かう途中で優吾がぽつりと言った。
「美玖さんのことはなんだか放っておけないんですよ。他人に弱みを見せないっていうか…。いつも笑顔だけど、心から笑えていない」
ドキリとして何も言えなかった。誰にも見せることの無かった弱い自分が初めて見つけてもらえたような気持ちになった。
「私のこと、よく知ってるんだね」
「入社した時からずっと気になっていたんです。あなたのような人を知っていたから」
「私、ずっと怖かったんだ。誰かに甘えて、もう二度と一人で立てなくなったらどうしよう、って」
優吾と話していると自然と素直になってしまう。真っすぐな瞳で見つめられると吸い込まれそうになる。
「俺にだけ見せてくれませんか」
微かに回った酔いのせいか、ほっぺが熱くなるのを感じてうつむいた。
優吾の顔が近づいてきて、私は咄嗟に目を閉じることもできなくて、唇が触れると心臓がギュッと握られたような淡くて心地いい痛みを感じた。
二人でタクシーに乗り、マンションの住所を告げた以外、お互い何も話さなかった。
どちらからともなく指を絡め、初めて感じる焦燥とも緊張ともとれるドキドキを飲み込むのに必死だった。
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