丁寧に仕込まれ1日かけてじっくり温め熟された体をぺろりといただかれる (ページ 3)
「雪が我慢強くてよかったぁ。耐えられなくて勝手にほどかれちゃうかと思ったよ」
「だって、取らないでって言ったじゃない…」
あんなに頑丈に結ばれていた縄は、信行がそのうちの何か所かを緩めると、あっという間に私の体から剥がれ落ちてしまった。ただ縄がなくなっても、私の体にまとわりついたむず痒さは消えてはくれない。信行もそれが分かっているのか、期待と興奮に満ちた目で私を見下ろしている。私が耐えがたい感覚と戦っていることなどお見通しなのだ。
「うん、そうだね言ったね。でも本当に守ってくれるとは思わなかったんだよ。こんなにあちこち赤くなってるのに」
「うっあああ…! さわ、触らないで、ぞわぞわする…」
少しだけかさついた信行の指の腹が、胸に出来たピンク色の筋をゆっくりとなぞる。縄で擦れて出来たそこは敏感になっていて、どう触られてもとにかく気持ちがいい。
体中に満ちた熱さは、縄の食い込んでいなかった秘所にまで及んでいて、信行がかさついた手でそこを何度か撫でるだけで、また簡単に達してしまった。
「ね、待って信行。ちょっと休憩…」
「そうだね、疲れちゃったよね。俺のためにありがとう。準備してくるからそれまで休んでて」
準備、とはゴムを取ってくるということなのだろう。これから起こることを想像してまた体が熱くなる。信行の「仕込み」という言葉といい、私に今日一日食い込んでいた紅い縄といい、まるで肉を熟成しているかのような言い様だ。
そう考えて笑ってしまったけれど、あながち間違いでもないのかもしれない。だって今から私は、信行にゆっくりじっくり食べられてしまうんだから。
「お待たせ」
ゴムの袋を手で開けながら、信行が私の顔を覗き込むようにして笑う。私も釣られてにっと笑えば生理的な涙が頬を伝った。優しく頬を拭ってくれる指も気持ちがいい。覆い被さって改めてこちらを見下ろしてくる、その熱い視線にさえ体が震える。
「私、美味しそう?」
冗談っぽくそう尋ねた。
信行は驚いたように目を見開いてから、ひどく嬉しそうに笑って頷き、私を食べるための「フォーク」を構えた。
「最高に美味しそうだよ、雪。それじゃあ、いただきます」
熱い熱いフォークがゆっくりと突き立てられる。期待と興奮にぐんと私の体温が上がったのが分かる。十分すぎる程に温まっていたはずの私の体に、まだ熱くなる余地があったのだと知って、今日一日のむず痒さを忘れてしまうくらい幸せな気持ちになった。
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