髪型もスタイルもあの頃と同じ元カレが店の前で待っていて…抑えきれぬ激情 (ページ 2)

「思いっきり、短くしようと思うんだけど。」

「!?昔、みたいに?」

「そう・・・、覚えていてくれたんだ。」

震える手で彼の髪のカットが進むにつれて、あの頃の彼を思い出していた。

「御主人って、どんな仕事してるの?」

彼の突然の一言に過敏に反応したの自分が一番良く分かっていた。

「建設会社で、あちこち出張ばかり。」

「へぇ、それじゃ寂しくない?」

「寂しい・・・けど・・・。」

週の大半を家に戻ってこない夫、寂しい気持ちは本当だった。

「何でそんな事、聞くのよぉっ?」

涙声でそう返すのが精いっぱいだった。

そして数時間後、ヘアサロンの閉店直前に彼から電話がかかってきた時には既にその先の期待はあった。

「さっきはごめん・・・、店の前で待ってる。」

髪型を変えあの頃と同じスタイルでドアのガラス越に見えた彼の姿を見た時、既に私の中のスイッチが入った。

店を出て、近くの公園を歩く。

微妙な距離を二人ともが意識していた。

それは、心の距離と言っても良かっただろう。

彼の後姿が視界にある事がこんなにも安心するものであったと思いだしていた。

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